第4話 ページ6
「や、やらかした……」
書き途中のノートどこかに忘れた……。
あれ待ってどこにやったっけ。
昼休憩終わっても中々来ない私を呼びに先生が来たのは覚えてるし、その時は持ってたことも覚えてる。
しかしその後の記憶がない。
あっは。どうしよう。あっはじゃねぇよバカ。
せっ、せっかく書いたのに……全てが水の泡だ。
教室のロッカーの中にも無い。
1度書いたことは少しは覚えてるけど、全部完璧に覚えてるかって聞かれたらNOだよ。
そんな天才じゃないよ。どこだよぉぉおおお!!!
「マジか……」
深く大きなため息をついてその場に座り込む。
思い出せないものを無理に思い出そうとすると焦って余計に思い出せなくなる。
目標決まったのに、全部水の泡か……。
探しに行かなきゃ。でも動くのだるいし面倒。でも探さないと大事なものがとグルグルと頭の中でループする。
『あきらめねぇド根性』
ふと思い出した誰かの台詞。
自来也かナルトのどっちかが言っていたような気がする。
そうだ面倒事は嫌いだけど諦めたら見つかるもんも見つからない。
帰るの遅くて打たれてもいいからアカデミー中を探そう。そうしよう。
そう思い荷物を纏めた矢先の事だった。
教室の戸が開いた。先生だと思い振り向いてみると、私の書き途中のノートを読んでる奈良シカダイの姿が。
「なっ、そ……っ!」
慌てすぎて言葉が出てこない。
私の存在に漸く気づいた奈良が私を見て、ノートを差し出しながら口を開いた。
「わり、読む気は無かったんだけどよ。あんたすげぇな。俺こんなん書けねぇや。なんつーの……続きがすげぇ気になる」
息が止まるかと思った。
そりゃコミケでは買ってくれる人もいたし応援してくれる人もいた。
でも面と向かって言われたことは1度もなかった。
何よりこの世界に来てから、はじめて言われたわけで。
いつもは面倒くさがった表情しかしない奈良が、私なんかの拙い文を読んでわかりづらいけど少しばかり目を輝かせている。
「……ありがとう」
「っ!」
「じゃぁ、私行くね」
教室から出ると私は早歩きをしていた。
嬉しいという感情が頭を心を支配する。
この世界に来てはじめてちゃんとした存在意義を見出した気がする。
書き手として、続きが気になるとか、読みたいとか面白いとか言ってくれること程幸せなことはない。
例えそれがたった1人の相手からでも。
だから、私は自来也様のように忍でありながら小説を書ける人になってやる。
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清水ファンタジア(プロフ) - CCさん» 応援ありがとうございます。亀更新ではありますが頑張らせていただきます! (2021年7月8日 0時) (レス) id: a394ff5f98 (このIDを非表示/違反報告)
CC(プロフ) - 更新待ってました! ありがとうございます!!続きも楽しみにしています!頑張ってください! (2021年7月8日 0時) (レス) id: 8f9bdc23ee (このIDを非表示/違反報告)
清水ファンタジア(プロフ) - 三色弁当さん» BORUTOもそうですが、好きな話を沢山書いて練習していくといいと思います。人に見せてこそのものなので、BORUTOも頑張ってください (2020年12月18日 19時) (レス) id: a394ff5f98 (このIDを非表示/違反報告)
三色弁当 - 清水ファンタジアさん» 勇気の言葉ありがとうございます泣 NARUTOは軽くですが知ってるのですが次の世代のBORUTOを書いてるんですがそれをコツコツ書けばたくさんの方に呼んで貰えますかね、、? (2020年12月18日 16時) (レス) id: 02492f2e0b (このIDを非表示/違反報告)
清水ファンタジア(プロフ) - 三色弁当さん» 私も最初は全然上手くなかったんですけど、コツコツ書いていけば、ちゃん読んでくれる人が現れるので大丈夫ですよ! 最初はなかなか苦戦するかもしれないですが…… (2020年12月18日 16時) (レス) id: a394ff5f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:清水ファンタジア | 作成日時:2020年10月6日 13時