よん ページ4
「見える?」
「ジャンプしたらギリ見える!」
「よしゃ、ジャンピン!!ジャンピン!!(?)」
体育館には案の定人だかりができていて、私と友人はピョンピョン懸命に飛んでいた。
入り口に溜まる女の子達の頭越しに男バレが見えたり見えなかったり。
なるほど、見えるぞ!見えるぞぉお!!とテンション高く跳ねまくっていたが、一瞬見えた顔にハッとする。
「あれ、あの人……」
「?知り合いでもおった?」
間違いない。銀髪に刈り上げとか派手でチャラい頭、そうそういないだろう。
昨日うちに来てた人だ。
「ねえ、あの銀髪の人の名前は?」
「宮治先輩やで。ツインズの」
「へえ〜あの人が……」
「金髪の方が片割れの宮侑先輩」
まさかバレー部だったとは。そして噂の宮先輩の一人だったとは。
兄もとんでもねえ陽キャ(偏見)と友達なんだなぁ…としみじみ思う。いや、お兄ちゃんも陽キャか。
絶対イケメンだ。もっとしっかり顔を見たいが、空中にいられる時間は一瞬なのだ。くそう。運動神経ほしい。
「うーん、人多いし帰ろっか」
「今日オフの部活多いもんね」
「次は脚立持ってくるから」
「ガチじゃん」
***
ほんの2時間前までは宮治先輩の顔を見たがっていた私ですが、そんな私に教えてあげたい。
あの人今日もうちに来るんだってばよ。
そしてばったり鉢合わせちゃうんだってばよ。
気をつけてくれ。油断しないでくれ。
狭い家なんだから、簡単に鉢合わせるんだ。
「……あ」
「あっ」
帰りたい。
咄嗟にそう思ったけど、ここは私の家だった。
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作者名:- | 作成日時:2020年5月19日 15時