8.朝は要注意 ページ8
＊＊＊
「おはよーさん」
「おさむくんおはよ……」
寒くて暗い廊下に出ると、治くんが寝癖をつけて立っていた。隣の部屋は治くんだったのか。
「あつむくんは？」
「……あー。あいつ寝起き悪いねん」
「起こしに行った方がいい？」
「……行ってもええけど、Aちゃん怖いと思うで」
すげえ目付きで睨まれるとかかな。
でもこれから一緒に暮らすんだし、そんくらい慣れなきゃ、と意を決して侑くんの部屋のドアを開けた。
(治くんは知らんで〜みたいな顔して見てた)
壁の方を向いて布団を被っている侑くんの背中をトントンと叩く。
「侑くん、起きて」
「………………」
▽へんじ が ない 。 ただ の 屍 の ようだ！
「侑くん、起きないと朝ごはん冷めるよおお……遅刻もしちゃうよおおお……」
ずぼり。全然起きてくれないので、布団の中に手を突っ込んでみる。お、あったかい。
しばらくぬくぬくしていると、突然手を引っ張られて布団の中に引きずり込まれた。
「(え！？)……あ、あつむくん」
「……………………」
「お、怒った……？ごめんね……？？」
布団が邪魔で彼の顔が見えない。どんな顔してるんだ。
あと身体中が密着していて心臓がはち切れそうだ。あったかい。ねむくなってきた。はっ！いや、起こさねば。
布団から出ようと身を捩ると、侑くんの腕の力が緩んだ。やっと見えた顔は、普通だった。機嫌は直ったようだ。
「………Aちゃんおはよーさん」
「！起きた？」
「んーいい匂いしたから目覚めた」
そう言って首筋辺りをすん、と嗅がれる。おっと？？？？？寝惚けてない？？？？？？
体温を上げて混乱させていると、扉が開いた。
「なにしとんねんお前」
「なんでおんねん治」
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作者名：- | 作成日時：2020年3月13日 22時
