犬＊２１７話＊ ページ27
「A。君の記憶が完全に戻ることを願ってるよ」
ミドリはそう言って消えた。
私は･･･何も言い返せなかった。
誰でもできるような否定しかできなかった。
『(それは、ミドリの言うことが正しいと思っているから？)』
やっぱり私は･･･。
「A･･･」
『････ごめん、サラちゃん。ちょっと一人にさせてほしい』
「･･･分かった。でも何かあったらすぐ言ってくれ」
『うん、ありがとう･･･』
心配そうなランマルにも一言言って教室を出た。
エレベーターにもたれかかりぼーっと宙を眺める。
･･･私、こんなに弱かったっけ。
確かに強かったわけじゃない。むしろ死にたがるだけの弱い奴だった。
だけど少なくともこんなに怖がりじゃなかったはずだ。
特に気にせず灯ろうを使っていたはずだ。
それがどうして？
本当の自分を知るのが怖い。
もし人格が変わってしまったら？
分かってる。
記憶が戻ったから人格が変わるなんてそんなことあり得ない。
だけど･･･この不安は何？
頭が、胸が締め付けられるこの感覚は何なの？
何もないと分かってるなら、どうしてこんなにも怖いの？
.
.
「A！！」
しばらくしてサラちゃんの心配そうな声が響く。
顔を上げると、彼女がこっちに向かって走っていた。
「大丈夫か！？気持ち悪いのか？」
･･･ああ、私がうずくまっていたからか。
『ううん、ちょっと疲れたから休んでただけ。ごめんね』
「いや、それならいいんだ」
良かった、と笑うサラちゃんに心が痛んだ。
無駄な心配させちゃって申し訳ないな･･･。
と、サラちゃんが灯ろうを取り出した。
それが目に入った瞬間、胸がきゅっと締め付けられた。
「実はみんな、この灯ろうを見て記憶を取り戻したんだ」
『･･･え』
「････怖くて拒絶したくなる気持ちは分かる。だが私は･･･思い出せないままはいけないと思うんだ」
『･････』
「どうしてこのゲームに参加することになったのか、ミドリと何を話したのか、･･･本当の過去を知ることで前に進めると思う」
『･･･綺麗事、って言いたいけど･･･実際みんなそれで前に進んでるんだもんね』
「A･･･」
怖くて怖くてしょうがないけど･･･嫌な予感は止まらないけど。
だけどこのまま止まっていたらきっと私は前に進めない。
ケイジさんに顔向けできない。
なら････。
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にこみうどん - っっっはぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！最高すぎるではないですか！どうしたらこんな最高な小説かけるんでしょう。最高ですね。更新頑張ってくださいね！ (6月17日 17時) (
レス) @page39 id: d8578c819c (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - この作品大好きです！！応援してます！頑張って下さい！！ (6月13日 1時) (レス) @page39 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - とても素晴らしい作品ですー！！是非とも最後見たいので更新待ってますｯｯ (2023年4月1日 3時) (レス) @page37 id: adc5e1c6e8 (このIDを非表示/違反報告)
雫。(プロフ) - ここまで一気見してきました！とても面白かったです！更新待ってます！ (2022年12月31日 22時) (レス) @page33 id: 221078456e (このIDを非表示/違反報告)
天弥(プロフ) - めっちゃ面白いです！無理しない程度に更新頑張ってください！ (2022年4月24日 16時) (レス) id: 6363332534 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかづち
| 作成日時：2021年8月18日 16時
