犬*212話* ページ22
「・・・でも」
ランマルの空気が重くなる。
「Aが苦しむくらいなら・・・またあんな思いをするくらいなら・・・いっそ・・・・」
『・・・ランマル・・・?』
「くだらねぇ・・・」
クルマダさんが舌打ちをした。
びくっとランマルの身体が揺れる。
「んなもん・・・全部わかったうえで・・・協力するっつったんじゃ・・・ねぇのか・・・?」
「それは・・・」
「いちいちあの野郎の言葉に振り回されやがって・・・テメーの覚悟はそんなもんか・・・!!」
「クルマダ・・・」
「・・・・まぁ・・・もう・・・どうでもいいか・・・。どうせ・・・俺は死ぬ・・・」
クルマダさんは勢いよくその場に座り込んだ。
もう限界なんだ、クルマダさん・・・。
助からないの?また仲間を置いて行くの?
Q太郎さんとマイさんだけじゃなく、この人も?
『・・・・・・』
一緒に行きましょう、と言いたいのに声が出ない。
喉が潰れたわけでも出し方を忘れたわけでもなく、ただ・・・
ただ、言葉を発する気力が起きない。
Q太郎さん達やクルマダさんを助けるために、
ケイジさんと再会するために動かなきゃいけないのに・・・・・
ランマルに抱きしめられている今の状況が心地よくて・・・幸せで・・・・。
『(_____________このままランマルと二人で脱出できたら・・・そしたら、)』
そしたら、幸せになれる?
“あの時みたいに”泣かなくて済む?
『__________っ、違う!!』
「!?A・・・?」
慌ててランマルから離れる。
違う、違う!今のは本心じゃない!!
私はケイジさんが好きで、みんなのことも好きで・・・一緒に脱出したくて。
誰も犠牲にせず、全員で生き残れたらって・・・そう、思って、
“今思えば、好きだったんだろうね、あいつのこと。本当はずっと恋してたんだ。”
“ケイジを裏切って、ランマルと生き残ろうとするかもね”
ああ、ああ!!うるさいうるさいうるさい!!!
喋るな、囁くな!!
私は裏切ったりしない!みんなを・・・ケイジさんを裏切るわけがない!!
_______________でもこのままだと、ランマルが死ぬかもしれない。
そんな声が頭に響く。
・・・・そんなの、そんなの嫌。
ランマルが死ぬくらいなら・・・いっそ_____________
「A」
瞬間、誰かが私の腕を掴んだ。
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にこみうどん - っっっはぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!最高すぎるではないですか!どうしたらこんな最高な小説かけるんでしょう。最高ですね。更新頑張ってくださいね! (6月17日 17時) (レス) @page39 id: d8578c819c (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - この作品大好きです!!応援してます!頑張って下さい!! (6月13日 1時) (レス) @page39 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - とても素晴らしい作品ですー!!是非とも最後見たいので更新待ってますッッ (2023年4月1日 3時) (レス) @page37 id: adc5e1c6e8 (このIDを非表示/違反報告)
雫。(プロフ) - ここまで一気見してきました!とても面白かったです!更新待ってます! (2022年12月31日 22時) (レス) @page33 id: 221078456e (このIDを非表示/違反報告)
天弥(プロフ) - めっちゃ面白いです!無理しない程度に更新頑張ってください! (2022年4月24日 16時) (レス) id: 6363332534 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかづち | 作成日時:2021年8月18日 16時