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第八話 ページ8

「それじゃあ授業を始めるぞ」

授業の始まりを告げるチャイムが鳴って、号令をかけようとしたその時。
机に顔を伏せたまま動かない女生徒が見えた。
後で声をかけに行こう。そう決め、号令をかけた。


授業が始まって早々に、生徒達に問題を解くよう指示し、俺は寝ている生徒の方へ向かう。

「(人1)」

そう呼びかけて(人1)の身体を揺するも反応はない。
いつもは寝ていないのに、夜更かしでもしたのだろうか。
珍しいこともあるもんだなと思った。

「(人1)、授業始まってるぞ」

もう一度、次は強く身体を揺すると反応があった。

「んー……お母さん、あと五分だけ……」

「ぶっ!!」


漫画とかでよくありそうな台詞を口にする(人1)。
すると、彼女の前の席の女子……葉川が笑い始めた。
他の生徒たちが驚いて葉川の方を見る。
俺も当然、其方を見る。
だが葉川はそんなことなど気にせずに笑い続けた。


「葉川、笑うのはいいけどもう少し静かに。
皆も、気にせず問題進めて」

「へいへーい、イケメン先生ごめんなさい」

「んん……(人4)うるさ……」

葉川の笑い声で目を覚ました(人1)。
今だけは葉川に感謝しようと思う。
まだ眠そうにしている(人1)に「おはよう」とだけ言って、俺は問題を解く生徒たちの見回りに行った。




「え、っと……なんで先生がいたの……」

小さな声でコソッと(人4)に話しかける。
(人4)の笑い声で目が覚めた私だが、先程までの状況を理解出来ずにいた。
というか、寝ていたので状況も何も分からないことだらけだが。
先生が「おはよう」とだけ言って、他の生徒たちのところへ行った。
つまり、それまでは私のところにいたということだろう。
顔に熱が集まる。考えただけで恥ずかしい。


「Aを起こそうと頑張ってたよ、先生。なのにAったら、先生のことをお母さんって言っちゃって……」

「う、嘘!? やだ、恥ずかしい」

穴があったら入りたいとはまさにこのこと。
入るどころか恥ずかしすぎて消えたい気持ちにもなる。
馬鹿馬鹿馬鹿、私の馬鹿。
何故寝てしまったのだろう。いや、昨日はあまり眠れなかったのが原因だろうけど。


「もうやだ……」

「大丈夫だって! 可愛かったし!」

(人4)なりのフォローのつもりだったのだろうが、今の私にはその言葉も耳に届かなかった。

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作者名:りつ(みずりんろーる) | 作成日時:2018年11月26日 17時

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