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第四話 ページ4

試験日が近づいてきている、ある日の放課後。

(人4)と勉強するために、担任に頼んで教室を貸してもらった。
分からないところはお互いに教え合う。
こうすることでテストでなかなかの点数を取ることができるのだ。


「(人4)、ここ分からない」

「ん〜? どれどれ?」


私が勉強しているのは数学。
数学はどうも苦手だ。将来必要があるのか、べつに算数さえあれば生きていけると思うのだが。

実際に、中学の時に数学教師が「数学ってやらなくてもいいじゃん」と言っていたくらいだ。
本当に必要ないと思う。


「ごめんA。私もここ分からないや」

数学はまだできる方(だと本人は言っていた)の(人4)が分からないのであれば、私に分かるわけがない。
私は持っていたペンを机の上に転がし、椅子から立ち上がった。


「ううん、こっちこそありがとね。私、この問題先生に質問してくる」

「あ、うん。行ってらっしゃい」


教科書とルーズリーフを一枚持って、教室を飛び出すと職員室へと向かった。
あの先生の授業は分かりやすい。分かりやすいけど、進むスピードが速いので、たまに頭が混乱する。

職員室の前まで来ると、扉を二回ノックして開けた。


「失礼します。一年三組の(人1)です。(人3)先生は…」

「俺がどうかした?」

「うぉわ!!」


背後から現れたのは(人3)先生。
顔は下を向いていて、肩を震わせている。
この人、絶対に先程の私の声で笑っているな。
仕方ない、本当に驚いたのだもの。
まさか背後から来るなんて誰も思わないよね。


「何、今の声……ふはっ」

「あの先生、数学の問題で質問があるんですけど」

「えっと、どれ?」

「これです、これ」


教科書を開いてとんとん、と問題を指差す。
先生は問題を見つめた後、「ちょっと筆箱取ってくるから」と職員室の中へ入っていった。

そしてシャーペンを一本持って出てきた。


「ここはな、こうするんだよ」


私のノートを奪い、すらすらとペンを走らせる。
男の人にしては綺麗な文字だ。
というより、同い年の男子たちが汚すぎるだけだろうか。
彼らの文字は、何を書いているのか全く分からない時がある。


「ああ、そういうことか……」

「そう、ここで躓く人が結構いるんだ。でもまぁ、解けたら簡単に思えるだろ?」


先程までどう考えても解けなかった問題が、先生に教えてもらっただけで、すんなりと解けた。
私は何故かそれが嬉しかった。


「先生、ありがとうございました」

「いえいえ」

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作者名:りつ(みずりんろーる) | 作成日時:2018年11月26日 17時

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