ねぇ、先生。【名前変換】 (ページ18)

今日:1 hit、昨日:85 hit、合計:176,417 hit

第十八話ページ18

「…待ち合わせ場所聞いてないんだけど」

昨日の夜からずっと何か忘れているような気がしていた。
けれども、そこまで重要なことでもないのだろうと自己解決し、そこで考えるのはやめた。

そして今日、(人4)とショッピングモールに行く準備をしている時に思い出したのだ。
待ち合わせ場所を聞いていないことを。

何が重要なことでもないだ、待ち合わせ場所なんて重要なことではないか。
ああ、最悪だ。何を馬鹿なことをしているんだろうと昨日の私を責め立てる。

「A、今日(人4)ちゃんとお出かけなんでしょ。早くご飯食べなさい」

下の階からお母さんの声が聞こえて、「はーい」と返事をしたけれど、お母さんが何を言っていたのかまでは聞いていなかった。

何時に集合なのかも知らない。
今からメールを送ればどうにかなるだろうか。
たぶん(人4)のことだから、ショッピングモールには朝から行くつもりなのだろう。
いつも(人4)と何処かへ出かける時は、朝から家を出て夕方まで遊んでいた。
今回も……きっとそう。

「今からメールしたら間に合うかな…」

間に合う……と信じて(人4)にメールを打つ。
慌てているせいか打ち間違いが多い。
朝から最悪だ。

必死にメールを打っていたら、またお母さんの声が聞こえた。

「A！早く食べなさい、(人4)ちゃん来ちゃったわよ！」

「はーい…えっ？」

いくら何でも早すぎやしないか。
今の時間を見てみると、まだ8時前である。
もしかすると(人4)は、朝からショッピングモールへ遊びに行くつもりだったのか。
きっとそうに違いない。ならば早く朝ご飯を食べなければ。
(人4)を待たせるわけにはいかないから。

下の階へ行くと、いつもご飯を食べるテーブルのところに(人4)が座っていた。
お母さんが朝食のフレンチトーストを差し出して、

「よかったら(人4)ちゃんも食べてって」

と言った。
ああ、安心した。
これなら急いで食べる必要もなさそうだ。
(人4)の隣の席に着いて、「いただきます」と言ってからフレンチトーストを口に含む。
うん、やっぱりお母さんが作ったフレンチトーストは美味しい。
(人4)もそう思っているのか、とても幸せそうに笑っている。

二人とも何も話すことなく、ただただ朝食を食べ続けているだけだった。