第46話(挿絵付き) ページ49
第46話
「惚れた女を、束縛する趣味はねぇよ」
ああ、これは聞き間違いなんかじゃないわよね。
ずっと空っぽだった心が暖かい物で満たされていく。これは未練が晴れていく感覚だろうか。
私の体が光りだした。
爆豪勝己が目を目開いて驚く。
「んだこれ……急に」
「未練が晴れたのよ」
「はあ！？ふざけんじゃねぇ！！なんでこのタイミングでッ………この、タイミング？」
雨が少し激しくなってきた。
そういえば、私が死んだ時も
こうやって雨が降っていたわね。
「…………まさか、てめぇの未練ってッ」
「ええ、そうよ」
他の誰でもない、あなたに、ただの女として見てもらいたかった。
正直……今の今までアナタには私の未練は晴らせないと思っていたけど。だってアナタ、私に勝負ばかり挑んでくるし嫌われていると思っていたから。
「ッ〜〜〜〜〜ざけんなやクソが！！！」
「……………勝己」
「俺のことッ……」
.
.
.
「────……俺のこと、そんな簡単に諦めてんじゃねぇッ！！！！」
彼の頬に流れている雫が
雨なのか、涙なのか分からない。
後者であって欲しいと思うのは
流石にわがままかしら。
「なんでもっと欲張らなかった！！なんでッ！！」
……そうね。
確かに、私の未練が……私の願いが
あなたとずっと一緒にいたいとか
そんな願いであれば
もっと長く一緒にいられたでしょう。
私の未練は
想いが通じ合えばそれで終わり。
折角、両想いになれたとしても
私達に先はない。
「愛してるわ、勝己」
「ッ……だったら俺のこと諦めんな！！この程度で満足してんじゃねぇよ！！！」
「いいえ、満足よ」
「俺が納得出来ねぇんだよ！！なんか方法があんだろッ………てめぇを蘇らせるための方法が」
まだ言いかけている彼をぎゅっと抱きしめた。
正真正銘、最後の力を振り絞り
彼の首に腕をまわして抱き着く。
「死生、命あり……よ」
「っ………」
「死んだ人間は、生き返らないわ」
「ざけ、んなよ……クソが」
そう震える声で言いながら
彼は私の背中に手を回した。
ああ、なんて幸せなんだろう。
「来世も、また会いましょうね」
そう言って
私は光を放ちながら消えていった。
.
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mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (
レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
晏(プロフ) - この作品が好きすぎて、何度も見直しています！ 感動しすぎてこれを読む時は、ティッシュが必ず横に置いてあります。 (2021年3月17日 0時) (レス) id: 440a1ef8ed (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅(プロフ) - 感動です...あれっ、足元に大量のテェィッシュが...笑。素敵な文章ですね！こんな文章が書けるようになりたいです。これからも、応援しています！ (2020年1月30日 21時) (レス) id: 349b1bb88e (このIDを非表示/違反報告)
みゅーう - めっちゃ感動しました。ボロ泣きしました。素敵な作品を書いて頂きありがとうございます！ (2019年7月22日 1時) (レス) id: b0c04a8a2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2017年12月15日 7時
