第42話 ページ45
第42話
オールフォーワンは私に触れることが出来ず「……おや？」と首を傾げる。やはり私が幽霊だとは気づいていないようね。
「私に触れることは出来ないわ……幽霊なのだから」
ＧＰＳで此処に来た時、私には爆豪勝己がここにいないことは分かっていた。八百万さんのＧＰＳは脳無に着いていて、私の印は爆豪勝己本人に付けてある。
それでも何も言わなかったのは、緑谷くん達を誤解させたままにしておきたかったから。
爆豪勝己の方には誘拐犯であるヴィランのメンバー達がいるだろう。だからあの子達をそこから遠ざけようとした。
なのに、こちらにこんな大物がいるなんて。
とんだ誤算だった。
「これは面白い。長年生きてきたが、幽霊なんてものを見るのは初めてだ」
「残念ながら本物の幽霊ってわけではないの」
「……と、いうと？」
「死んだ後、幽霊になる。そういう個性よ」
緑谷くん達が逃げる為には、この男の気を完全に引かなければならない。少なくとも30秒はいるでしょうね。
オールフォーワンは「へぇ……」と一歩、私に近づいた。
「とても便利な個性じゃないか」
「ふふっ、発現すれば……だけど。死んでみるまで個性が宿っているかどうかは分からないから」
「それでも可能性があるなら試す価値はいくらでもある」
オールフォーワンという大物の気を引く。そのために、彼の興味を唆る話題が必要だった。
彼は人の個性を奪う事が出来る。
なら、気を引くための話題なんて１つしかない。
「死んでも死なない個性、素晴らしい。とても興味深いね」
やはり、食いついた。
こんな時代まで生きているということは、彼は相当強欲な人間なんでしょうね。彼の好きそうな個性が目の前にチラついていれば気にせざるを得ない。
ただ、もし私が個性を奪われたら
個性だけでこの世に留まっている私は
確実に消えてしまう。
でも今はリスクを恐れている場合でもないわ。使える手は何であろうと、使うべきなのだから。
オールフォーワンが再度、私の顔に手を伸ばす。ただ触ろうとした先程とは違って、個性を奪うために手を伸ばしてくる。
オールフォーワンの後にチラリと見える心配そうな顔の緑谷くん達。お願い、今しかないのよ。
早く逃げなさい。
「僕がその個性、貰ってあげよう」
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mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (
レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
晏(プロフ) - この作品が好きすぎて、何度も見直しています！ 感動しすぎてこれを読む時は、ティッシュが必ず横に置いてあります。 (2021年3月17日 0時) (レス) id: 440a1ef8ed (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅(プロフ) - 感動です...あれっ、足元に大量のテェィッシュが...笑。素敵な文章ですね！こんな文章が書けるようになりたいです。これからも、応援しています！ (2020年1月30日 21時) (レス) id: 349b1bb88e (このIDを非表示/違反報告)
みゅーう - めっちゃ感動しました。ボロ泣きしました。素敵な作品を書いて頂きありがとうございます！ (2019年7月22日 1時) (レス) id: b0c04a8a2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2017年12月15日 7時
