第37話 ページ40
第37話
「どんなに楽しい事をしていても、ずっと孤独感に蝕まれる」
未練とは、そういうものよ。
そう話す生徒会長は笑っているのに、苦しそうに見えた。生徒会長の心を救うにはやっぱり消える選択肢しかないってことなのかな。
「……教えてください。生徒会長の未練って何なんですか？」
「言っておくけど、緑谷くんにはどうしようも出来ない事よ」
「それでも……聞きたいです」
生徒会長の赤い瞳をじっと見つめ言うと、生徒会長は少し黙り込む。こうして人の事情にズケズケと足を突っ込むのは僕の悪い癖だ。
でも、ここまで関わってしまったら……知らんぷりなんて出来ない。何も出来ないのだとしても、知らないまま何か起きてからじゃきっと後悔する。
「爆豪勝己が当てられるまで誰にも言うつもりは無かったのだけれど、目的地まで時間もあるし特別よ。そうね……順を追って話しましょう」
＊＊＊
私が生まれたのは名家、鳳憑家だった。
小さい頃から厳しい教育を受け、親の愛情や家族の温もり等とは縁のない生活を送る日々。結果が全てであり、優秀である事が当たり前。
どれだけ努力していようと、結果が出なければゴミとして扱われるのだ。
遊びの誘いは断り、いつも凛と清く気高くいなければならなかった私は、当然ながら周りの同世代と距離を置かれていた。近寄り難い雰囲気があるからだろう。
だが、中学に入ってただ１人だけ違う人間がいた。私に臆することもなく置かれた距離なんてガン無視の、予想外に馬鹿なひと。
それが爆豪勝己だった。
良くも悪くも空気なんて読まない人だから、私の気持ちや事情なんかお構い無し。でも退屈だった私の人生で、初めて面白いと思える瞬間だったのだ。
そして中学３年生になった２月２６日。
雄英の受験日。
母に呼び出されそっと襖を開ける。黒い和服で身を包む母の目は、底の深い冷たさがあった。
「なんでしょうか、お母様」
「喜びなさい。貴方に名誉ある役目が任されました」
名誉ある役目？
また鳳憑家のことだろう。母がそれ以外の理由で話しかけてくるわけないものね。
「それは嬉しいです。それで、その役目とは？」
「貴方は明日、鳳憑家のために死ぬのです」
実の母親から下された
死の言葉。
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mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (
レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
晏(プロフ) - この作品が好きすぎて、何度も見直しています！ 感動しすぎてこれを読む時は、ティッシュが必ず横に置いてあります。 (2021年3月17日 0時) (レス) id: 440a1ef8ed (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅(プロフ) - 感動です...あれっ、足元に大量のテェィッシュが...笑。素敵な文章ですね！こんな文章が書けるようになりたいです。これからも、応援しています！ (2020年1月30日 21時) (レス) id: 349b1bb88e (このIDを非表示/違反報告)
みゅーう - めっちゃ感動しました。ボロ泣きしました。素敵な作品を書いて頂きありがとうございます！ (2019年7月22日 1時) (レス) id: b0c04a8a2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2017年12月15日 7時
