第31話 ページ34
第31話
鳳憑A、なんて少女だ。
私のマッスルホームが解けた姿を見ても殆ど動揺せず、瞬時に理解し黙っておくと言った。とても15歳で死んだ子供とは思えないな。
「君の個性、幽霊っぽいことがだいたい出来るといったところか」
「ええ、そうですよ。人に憑く、姿を消す、物質を通り抜ける……それしか出来ないけれど。ああでも、たまには触れるわ。よく心霊番組とかで物が突然落ちたりするでしょう？」
確かに強力な個性って訳じゃない。
が、使い方によっては万能個性だな。緑谷少年の話だと彼女はかなり頭がいいと聞く。この組み合わせはきっと相性がいいんだろう。
「その個性をもつ君ならヒーロー界でも活躍出来そうだね」
「ふふっ、買い被りすぎですよ」
腹の底が全く読めない。
「とにかく、この姿の事を黙っていてくれるのは助かるよ。この姿は教職員と一部のヒーロー、限られた友人……それから緑谷少年しか知らない秘密だからね」
「………………そう、緑谷くんが。彼の個性は貴方に似ていますしね」
スッと目を細める。
しまった、これは彼女には言わない方がよかったかもしれない。これは勘だが、彼女はそうとう頭がキレる。何か突拍子もない事を考えかねない恐ろしさを持った少女だ。
ここは早めに切り上げて……────
「ところでオールマイトは、オールフォーワンという男をご存知ですか？」
一般人の、ましてや子供の口から出るはずのない言葉。私の記憶に染み付く、重い言葉。
「なぜ君がその男の名をッ……」
「鳳憑家は昔、裏社会に精通していた事もあるんですよ。家の書物に載っていた大昔の男の名です。その書物によるとオールフォーワンという男は、人の個性を奪い与える事も出来たとか」
そこまで知っているのか。
まあ、大昔の男の話です。そう笑いながらフワフワと浮遊し近付いてくる。
「人の個性奪ったり与える事が出来るなんて凄いですよね。そういえば緑谷くんは私が知る限り無個性だったのに、最近になって個性を発現したそうです。ふふっ……ヒーローに憧れていたみたいだったからよかったわ」
すみません、話が脱線してしまった。と言いながらそっと手を伸ばし私の頬に添える。触れている感触はないのに、ゾクッとする冷たさがあった。
「何の話をしていたかしら……ああ、そうだった。緑谷くんの個性は貴方に似ていますね」
にっこりと笑う彼女の赤い瞳に、私が映っていた。
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mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (
レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
晏(プロフ) - この作品が好きすぎて、何度も見直しています！ 感動しすぎてこれを読む時は、ティッシュが必ず横に置いてあります。 (2021年3月17日 0時) (レス) id: 440a1ef8ed (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅(プロフ) - 感動です...あれっ、足元に大量のテェィッシュが...笑。素敵な文章ですね！こんな文章が書けるようになりたいです。これからも、応援しています！ (2020年1月30日 21時) (レス) id: 349b1bb88e (このIDを非表示/違反報告)
みゅーう - めっちゃ感動しました。ボロ泣きしました。素敵な作品を書いて頂きありがとうございます！ (2019年7月22日 1時) (レス) id: b0c04a8a2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2017年12月15日 7時
