51 : パンダが喋った!! ページ9
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「任務だ、A」
『ねえ何でここで夜蛾先生が出てくんの。特級と一緒の任務はもう嫌です』
雄とナナミンが朝から任務の日。
特級達の気配に最大限の注意を払いながら、一人校内の廊下を歩いていた時だった。
角の向こうから、ビリビリと痛いくらいの呪力を感じるなーなどと思っていれば、そこには案の定、脳筋先生。
いや脳筋って、私が呼んでるわけじゃないよ?
先輩方の真似をしてるだけだよ?(早口)
『え、先生それ……』
脳筋の通り名(?)のまんまな見た目をしている夜蛾先生は、ゴツゴツのモリモリなのだが。(語彙力)
そんな見てくれの先生の、やっぱりムキムキな腕の中に居たのは…………
「見てわかるだろ。パンダだ」
『喋った!!パンダのぬいぐるみが喋った!!』
「落ち着けA。それと声を落とせ」
いや驚くだろ普通!
パンダのぬいぐるみとかまじ似合わねーな、なんて、先生の持ち物として認識したモノがいきなり喋ったら!
「これは俺の作った呪骸だ」
『パンダ型の…………呪骸、ですか』
そうだ、と頷いた先生が抱っこしている呪骸(パンダ)を、改めてまじまじと見つめる。
……………いやうん、パンダ。
どこからどう見ても、ただのパンダにしか。
「この子を少しずつ、高専の環境や術師達に慣れさせたいと思っているんだが」
『はあ』
「校内の散歩でもしようと連れ出したら、緊急の任務が入ってしまってな」
『へえ』
「後は頼む」
『私?!』
何で私?!
先生は2年の担任じゃん、頼むなら普通、直接の教え子からじゃね?
特級ズは任務かもしらんけど、硝子先輩なら校内に居るんじゃね?
私の思考回路を完全に読みきっているらしい脳筋(失礼)先生は、ふう、と大きく息を吐く。
「硝子に預けると、解剖されるからな」
『あ、なるほど。理解』
「俺まだ死にたくない」
そういうわけで、と。
夜蛾先生は私に呪骸(パンダ)を差し出した。
「3時間程で戻る。頼んだぞA」
『……』
「………帰りにケーキを買ってくる」
『イエス!サー!』
「チョロいなお前」
呆れたように私を見上げる呪骸(パンダ)を、腕にしかと受け取って。
「気をつけてな、まさみち!」
『先生、私ガトーショコラとアップルパイとショートケーキとベイクドチーズケーキね!』
二人(?)で揃って、そのバカでかい背中を見送ったのだった。
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ひよ(プロフ) - ナミさん» ナミ様、こちらの話し作品にまでコメント頂き、本当にありがとうございました!嬉しかったです♥️ (2023年4月8日 14時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - コメント失礼します。すごく面白かったです!最後まで面白いです!!最高です(^^) (2023年4月8日 10時) (レス) @page50 id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - みーちゃんさん» みーちゃん様、はじめまして!完結済みのこちらにコメントして下さって本当にありがとうございます♥️ めちゃくちゃ嬉しかったです!お気に召して頂けたようで、光栄です! (2023年3月27日 16時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃん - 最高過ぎます...。オチが夏油サマと五条サマが交互にいらっしゃる(語彙力)のが最高過ぎますしTT最後の話もおもろくて最高···尊い (2023年3月27日 15時) (レス) @page50 id: 242dc6d800 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 夜月さん» 夜月さま、最後の最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました♥ 頂けたコメントのおかげで、何度助けられたかわかりません…!私もこの夢主、書きやすかったです(笑) また気が向かれましたら、新作も宜しくお願い致します! (2023年1月23日 20時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
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