二人の特級術師に何故か狙われています。【呪術廻戦】

42 : どっちを選ぶの？ ページ43

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『イタイイタイイタイイタイ』


「ほら悟、Aが痛がってるじゃないか可哀想に。いい加減、放してあげな」


「あ？ この状況でそれ言う？傑が放せばいいだけだろ」


『い"だだだだだだだだだだだ』



裂ける裂ける、いやもう裂けてない？！これ！！
私の両腕もげかけてると思う！ 誰か確認してお願い！！



ここは某有名アパレルブランドの静かな店内、本来なら絶対、私のこんな汚い悲鳴が響いて良いような場所じゃない。

わかってる、わかってるけど……！



『ん"ぎぎぎぎ、無理もうむ、……………っぎゃ？！』


「「あ」」



左腕を最強、右腕を前髪先輩に思いきり引っ張られ、何なら身体まで浮きかけていた私。

確かに言いましたよ。
放せと言いましたよ、うん。



『だからって同時に放すなや！！』



ピカピカの綺麗なフロアにお尻から落ちた私、かわいそう過ぎるほんと。


ワリイワリイと差し出された最強の右手は、思いきり叩いて拒否しておいた。クソが。

　

「でもAにはやっぱ、こっちのが似合うって！」


「いやそれは悟の趣味だろう。Aにはこっちの方が似合うと思うよ」



さっきから繰り返されているその会話に舌打ちしてから、自力で立ち上がる。


頼みの綱のはずの硝子先輩といえば、数メートル先で、ご自身のお洋服をじっくり選んでいらっしゃるようだ。



『硝子先輩、私の腕もげたらどうするんですか』
　

「くっつくように最善を尽くすよ」



…………最終的にくっつくとしても嫌です。



料亭での食事を終え、こちらも行きつけだという五条先輩に連れられてきたのが、このブランドショップ。

最強ズが何故か張りきって、私に洋服を選んでくれているらしい。頼んでないんだが。



「ここはやっぱり、A本人に聞いてみるべきかな。選ばれるのは私だろうけど」


「あ？ バーカ、俺に決まってんだろ。なあA？」



聞かれているのは洋服のことだって、理解してるのに。
真っ直ぐ向かってきた、二人の視線が何だか。



『……っ、わかりません！』



急にいたたまれなくなった私はそう叫んでから、硝子先輩の元へと逃げるように駆け出したのだった。



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