風柱、拾いました【不死川実弥】

Day ２ ページ10

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深く読み込まなくても大丈夫だと思います、と声を掛けてから、温かい緑茶を煎れ、単行本を手にした風柱の前へ置く。

喉乾いてるよね多分、気が利かなくてすまない。



頂くわァ、と湯呑みをすすった風柱の目は、単行本に釘付け。そして結構な勢いで、かっぴらかれていた。


ちょっと怖いけど、それでもカッコいいのがすごいな。(惚れた弱み)




読み終えるにはもう少し掛かるだろう、と計算し、冷凍してあったご飯をレンジへ放り込む。

シンプルなおにぎりとお味噌汁なら食べてくれるんじゃないか、と予想して。



その合間にバスルームへ閉じこもり、着替えと洗顔諸々を済ませた。

今更だけど私これ、風柱にずっとすっぴん晒してたってことでいい……？(遠い目)




手早くご飯を握り、これまた多めに作ってあった味噌汁を温め直し、お茶のお替りと共にお盆に乗せる。



『不死川さん。ただの塩おにぎりですけど、良かったら』



その前に私も座り、お盆ごと差し出した。

風柱は貪るように読んでいた単行本から、一度顔を上げる。



「……いいンか」


『変なものは入れてませんし、不死川さんでも食べられるかと。でも、無理と遠慮はしないで下さい』



おォ、と頷き、風柱はおにぎりを掴んで齧りつく。

その手には、ご自身が表紙の17巻。
読むの速いな。



『えーと……何となくは、察して頂いたかと思うんですが』


「……ま、そう簡単にゃ信じられねェがなァ」



" つまり俺の存在する世界は、ここではこの、読み物の中の世界………ってわけか " と、導き出された結論。


さすがは風柱、判断が速い。
あ、それ水の一門だったっけ？ 鱗滝さんか。



『……要するに、" 逆トリップ " ってやつですね。 夢しょ的に言えば』


「あ？ ゆめしょ？」


『こちらの話です』



夢主が原作の世界に行く、いわゆる「トリップもの」の方が、夢しょ界隈では人気あるんだがな。



ま、いいだろう。

愛する風柱に会えたんだ。


＿＿＿我が人生に悔いなし！！


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