風柱、拾いました【不死川実弥】

Day １６ ページ29

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『なるほど……………そうきたか』


「………いや、別に無理そうなら、」


『無理じゃないよ！ むしろ行きやすいとこで驚いたの、ごめん』



恐らくは遠慮してだろう、あっさりと引き下がろうとした実弥さんを、食い気味で制した。



有休まで取得して、『実弥さんの誕生日を全力でお祝いする』と決めた時から、考えていたこと。


それは＿＿＿＿＿



『 ” 実弥さんの行ってみたい場所に連れていく ” 、っていうのが私の目的なんだから、実弥さんが決めてくれていいんだよ』



むしろそう思える場所があって良かった。うん。



朝ご飯を食べながら投げかけた、『どこか行ってみたい場所はあるか』という質問に、実弥さんは数分かけて考え。



『実弥さんの出身て確か、京橋だったっけ』


「もう慣れたつもりだったがなァ。そこまで知られてンのはさすがに驚くわ」


『まかせて。ファンブックも読み込んでる』



右手親指を立ててみせた私に、実弥さんは苦笑する。

そんな表情、原作じゃあまり見られなかったなあ。
やっぱり「今の」実弥さんだから、なんだろう。






＿＿＿＿＿「自分が生まれ育った場所」。



案外早くに導き出された答えは、私の予想していたものとは違ったけれど。

何となく ” 実弥さんらしい ” と思わされたのも、また事実で。



『ちゃんと実在する土地の設定になってて、良かったね』



これが音柱みたいに、「出生地不明」なんて設定だったら探せない自信しかない。

しかも、京橋なら………



『………実弥さんの記憶からは相当、変わっちゃってると思うけど』


「だろうなァ。縁もねェこの辺りの街並みにだって、驚かされるぐれェだ」


『多分ね。でも私、そこなら案内出来るよ』



むふふ、ともう一度親指を立ててみせれば、不思議そうに軽く頭を傾けた、風柱を。



『よし。じゃあ食べ終わったら早速、仕度して出掛けよう』



そんな風に促してから私は、卵焼きを口へと放り込んだのだった。


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