風柱、拾いました【不死川実弥】

Day １６ ページ28

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洗顔や歯磨きなど、一通り終えたらしい実弥さんは「それにしても」とダイニングテーブルにつきながら。



「昨夜はいつもより遅かったっつうのに、案外早く起きたじゃねェか」



簡単に準備した朝ご飯を前に、実弥さんはそんな感想を述べる。



そうなのよ。

水曜が祝日で浮かれたのも束の間、さすがに昨夜はまあまあな残業だったのよ。


いやうん、今週は1日少なかったわけですしね。

仕方ないんだけどやっぱ悔しい。
せっかくの風柱との時間が……！



『………しかし昨夜の残業には、大きな意味があるのです！』


「今朝はいつにも増して元気だなァ」



のんびりとお味噌汁を啜る実弥さんに、さして無い胸を張る。



『実は私なんと…………今日から4連休なのです！』



は？と目を瞬(しばた)かせる実弥さんに、ふふんと不敵に笑ってみせた。



『今日明日は、普通に土日休み。で、月・火と有休取ったの』


「ゆうきゅう……」


『あ。自分で会社に申請して、許可もらって取る個人的なお休みのことね』



結構たまってたんだよなー、有休。
ダメ元で先週申請したら、意外とあっさり受理されたのだ。



「そらお前の仕事だから、俺がどうこう言うこっちゃねェが……」



何故今？と、一言。
やっぱり鋭い。



『うーんと………その、ほら………実弥さんの誕生日じゃん、今度の火曜日』



11月29日。
実弥さんの＿＿＿＿＿25回目の。



『ゆっくりお祝いしたいな、って思ってね！』


「……」



わかってしまうだろうか。
実弥さんは聡い、優しい人だから。



『お休みも取らなきゃいけなかったし、ちょうど良かったからさ』



ね？と笑いかければようやく少し、細められる瞳。
確かになァ、と。



「……違う世界で誕生日迎えンのも、一興か」


『そうそう、せっかくこのタイミングなんだから』



楽しもうよ！と高らかに上げた宣言がどうか、明るく聞こえていますようにと。


祈るような思いは必死で隠し、私はもう一度、笑ってみせた。


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