風柱、拾いました【不死川実弥】

Day １６ ページ27

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枕元で控えめに鳴ったスマホのアラームを止め、心地良く温まったベッドの中で、大きく伸びをする。


さすがに11月も下旬となれば、特に朝晩は冷え込むようになってきて。



寒さで覚醒し始めた頭に湧いたのは、ふとしたイタズラ心。

そっとベッドから抜け出し、足音を忍ばせて、まだ静かなリビングへと向かう。



(風柱の温もりを感じてみたい……！)



あ、いやねそのっ……変な意味じゃなくて……っ！

実弥さんのお布団に、ちょっとだけね？
ほんのちょーっとだけでも、一緒に入ってみたい、的な？


そ、そそそれ以上のことなんて望んでないから！



(………誰に対して言い訳してんだ、私……)



やましい気持ちがあるからですよね、ええ。
自覚あるです。



リビングに敷いたお布団で、意外と(失礼)良い寝相で眠る風柱。

ゆっくりと近づき、その顔を覗き込んだ。



(うわ、まつ毛なっっっが……！)



やっぱ美人だよね、風柱って。
この穏やかでキレイな寝顔と、青筋ビッキビキの時の雰囲気の差よ。

こういうのをギャップ萌えって言うんじゃね？！
きっと！(違う)



………………よし。

では失礼して、いざっ……！



『ああっ！』


「………この俺に夜這い掛けようたァ、良い度胸してやがンなァA……！」



げし、と容赦なく繰り出された蹴りに、実弥さんのお布団へ潜り込もうとしていた私の身体は、見事に転がされた。


クソがァ、作戦失敗……！！



『夜這いじゃないよ！ もう朝だし！』


「そういう意味じゃねェっつの」



くあ、と大きなあくびをかましながら、実弥さんは身体を伸ばす。



「ったくお前は…………年頃の、しかも嫁入り前の娘がするようなこっちゃねェだろが」


『ダイジョブ。実弥さんが貰ってくれれば、万事解決』


「……」


『現代では逆プロポー、…………求婚もアリなんだよ。お願いやめてその表情』



何か残念な奴、みたいな視線が痛い。
むしろはっきりバッサリ断わられた方がマシだよ。



「……そら百年も経ちゃ、文化も人も変わるわなァ」



自分を納得させるかのようにそう呟いてから、実弥さんは立ち上がったのだった。


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