《後編》改）言えない師範と言わない継子【不死川実弥】

81 : 出来なかったことをしよう ページ42

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酔いも手伝い笑い続けていれば、冨岡さんも、困ったような笑みを見せる。



「いや待て、そら冨岡が不憫だろォ………よその奥方と一緒に風呂なんざ、どのツラで楽しめってンだよ」



オレ絶対ェ無理とやっぱり苦笑した実弥さんに、冨岡さんはぶんぶんと頷いた。


ほう、わかりあってらっしゃる。大進歩。



「お前らも、今度一緒にどうだ？ それなら冨岡も来やすいだろ」



いたずらっぽく笑った宇髄さんに、私も頷きながら同意する。



『いいですねえ。私も雛鶴さん達と、ゆっくりお喋りしたいですし』



ね？と視線を場に回せば。



「そうだな………皆一緒なら、もっと楽しいだろう」


「皆で温泉、ねェ………そら悪かねェが、Aは混浴禁止だぞォ」



にっこり笑った冨岡さんとは対称的に、眉を寄せたのはダンナ様だ。

え、何それもしかして。



「は？ うわやだねー、独占欲強いダンナとか」



負けじと顔をしかめてみせた宇髄さんは、私に向かって「なあ？」と同意を求めたが。


いや、その…………まあ。



『うへへへへ』


「悶えてんじゃねえよ。お前時々、善逸並みに気持ち悪く笑うよな」



今度は演技ではなく、ゴミを見るような視線を投げつけられた。

心外。



『いやほら愛されてる感あって、ちょっと嬉しかったり』


「キャラに反してMときたか、ド派手だな………つか不死川だって、Aと2人きりなら混浴入んだろ」



宇髄さんのツッコミに、実弥さんは何のためらいも無く。



「ったりめェだろォ………夫婦だぞ、風呂なんざいつも一緒に入っ、」


『ちょっ、実弥さん酔ってるでしょ！ 黙って！』



何を暴露しちゃってんの、どんな羞恥プレイよ。

大体、1人で入れるって言ってんのに「洗うのしんどいだろ」とか言いながら乱入してきてんのは実弥さんであってだな。


さすがに恥ずかしくて、その肩先をバンバン叩いてやっても、実弥さんはケラケラと上機嫌で笑う。



「はははっ………あー美味いな、お前らと飲む酒」


「………楽しい」



2人の呟きに、実弥さんと顔を見合わせた。



…………うん。


もっと一緒に、色んなことをしましょうね。

今までできなかった分も、皆ができなかった分も。



それを土産話にして、また……………皆ともいつか。



『今夜は飲みますよ！』



そう声を上げて杯を掲げた私に、3人も笑いながら、それをぶつけてきたのだった。



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