《後編》改）言えない師範と言わない継子【不死川実弥】

50 : 柱稽古 VS 煽り柱 ページ11

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「遅かったね」



元、が付くようになったとはいえ、あのド派手セクハラ柱はさすが、そう簡単に衰えてはおらず。



『………申し訳ありません時透様。宇髄様との打ち込み稽古が、思ったより長引きまして』


「宇髄さんの稽古って、基礎体力向上じゃなかった？」



何で打ち込み？と、やたら愛らしい仕草で首を傾げたのは、柱稽古・2番手の霞柱様。

無意識領域だな、この小悪魔ちゃんめ。



まだ14歳、しかもたったの2ヶ月で柱の地位まで昇りつめた時透様は、話しやすくなった印象だ。


…………前はちょっと、どこ見てるのかわかんない時もあったしな。(小声)



「ま、いっか。じゃあとりあえず、何がどこまで出来るのか見せてもらおうかな」



はい、と木刀を渡され。

時透様は不敵に口角を上げる。



「がっかりさせないでね、あの(・・)風柱の継子さん」



その白い頬にはもう既に、山にかかる霞のような紋様の痣が。

くっきりと、浮かんでいたのだった。













あ、結論から言いますね。


………………こてんぱん、ってこういうことなんだな、って。(白目)




「ほんとがっかり」



はあ、といかにもな演技で溜息をつく時透様につい、恨みがましい視線を送る。



『………下っ端に向かって、全力で痣なんか出さないで下さいよ……』



息も絶え絶えに憎まれ口を叩けば、やれやれ、とでもいうかのように、両手を上げられた。



「Aさんは柱同然でしょ。それに、何の遠慮もいらないって、不死川さんからも言われたし」



なのにさあ、と付け加えた後、時透様はチラリとこちらへ視線をよこす。



「がっかりだよ」


『2度目』


「Aさんなら、もっと手応えあると思ってたんだけどなあ…………楽しみにしてたのに」



めちゃくちゃ煽りますやん。


スミマセンデシタァ、と棒で詫びた私に、時透様は小さく吹き出した。



「筋肉の弛緩を、合間に意識してみて」


『しかん……』


「ほらアホ面しない。さっさと立って構える」



サボったら不死川さんに言い付けるからね、とそこだけ妙に子供らしさを発揮して。


時透様はもう一度、口角を上げた。



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