君の歌に恋をする 4【歌い手】

ウタコイ番外編＊大人の体温。 ページ21

シェアハウスに来てから数日。

私は、時々言いようのない不安に苛まれて、夜中にとめどなく涙を流す。

本当は、そんな弱い自分嫌なのに。

でもここは防音だから。どんなに泣いても、大丈夫…

『にゃー』

突然、ドアの向こうから猫の声がした。

あぁ、みみちゃんと、ぽんちゃんかなぁ。

このシェアハウスには、4匹の猫がいる。

歌詞太郎さんと天月くんと猫さんが飼っているそうだ。

その中でも、歌詞太郎さんのとこのみみちゃんとぽんちゃんは私によく懐いてくれてて、泣いていると時々部屋まで来てくれる。

なんで泣いてるのに気づくのかは、毎回謎なんだけど。

「また来てくれたの？」

そう言ってドアを開けると

「…え、歌詞太郎、さん」

そこには、みみちゃんとぽんちゃんを抱いた歌詞太郎さんが立っていた。

歌「…なんで、泣いてるの」

歌詞太郎さんは、驚いたように腕の中のみみちゃんとぽんちゃんを下ろした。

2匹は私の足元に擦り寄ると、大丈夫だよ、と言わんばかりに鳴く。

「…なんでもないです。歌詞太郎さんこそ、こんな時間にどうしたんですか」

なみだを拭うと、ニコッと作り笑いをする。

心が痛くて仕方がないけど、作り笑いは楽だから。

歌「みみとぽんが、付いて来いって言うから…」

歌詞太郎さんはそう言うと、私をぎゅーっと抱きしめた

歌「今はまだ何も聞かない。聞かないから。
泣きたくなったらいつでもこうやって抱きしめてあげるから。
そんな辛そうに笑わないで」

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