10話 ページ11
「え、ええ!運命のつg「番ったのか!?」」
おおっと勢いよく突っ込んで来たのは国木田さんだった。興味津々の様子だ。それもそのはず。
異能力を持つ人は大抵はアルファだ。そりゃあ異能力を持つ人持たない人を比べ、優劣をつけるとしたら当然だろう。…僕はベータだけど。
そんなアルファだらけの職場だが、運命の番に出会った人はまだ誰もいない。ただでさえ少ない人口のアルファとオメガなのに、そうやって結ばれる事例は多くない。だから僕たちはとても驚き、そして身を乗り出して話を聞いた。
「いいや、まだ。私は一刻も早くその項に噛みつきたいのだけど彼女がそれを許さないんだ。なんでも、本能で人生を決めるような事は良くないらしい。たしかに互いの気持ちを無視して番うのは良くない。だから思ったんだ。毎日愛を伝えていれば、いつかきっと私を求めてくれるってね。でも問題があってね、彼女のヒートがまだ弱いんだ。風邪みたいなんだよ。大して発 情しないんだ。ヒートの時期に合わせて既成事実を作って責任とって番になるという当初の計画が総崩れ。困った困った。そうなれば愛を囁いて、徹底的に私という存在を生活の一部に刷り込んで、あわよくばを狙うしかないだろう?尤も、手放す気はさらさらないけど」
え、ええ…。
僕は!こんな犯罪ギリギリ(多分アウト)な事をしている太宰さんを知るために質問してしたわけじゃない!
壊れかけのロボットのように首をギギギと動かし、周りの先輩方にヘルプを求めるも、全員に目を逸らされた。裏切られた気分だ。
でもこう、人畜無害な笑みで、うっとり♡みたいな表情で話されちゃあ否定する気力がなくなる。そしてまるで自分自身の恋愛観が間違っているように錯覚し始め……いやいやいや絶対太宰さんがおかしい。僕は間違っていない。
ドン引きというか「その女の人お疲れ」みたいな空気に包まれた。止まっていた手は動き始め、何事もなかったかのようにそれぞれの作業を再開する。
「じゃ、じゃあその女性に仕事をしてください、みたいな事を言われたから…」
「あの子に言われた事はなんでもやるからね。それが例え世間一般から見て悪だったとしても、私はやるよ。彼女の為だったらなんだって出来る」
あちゃー。
僕は顔も知らないその女性に、心の中で静かに合掌した。どうかご無事で。
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クリスタルパワー(プロフ) - 続きくださーい‼︎待ってます‼︎ (2022年6月9日 7時) (レス) id: 47ef91694a (このIDを非表示/違反報告)
雪姫(プロフ) - 続き待ってます!!!!! (2022年1月3日 12時) (レス) @page15 id: eeb0e1af4c (このIDを非表示/違反報告)
世成 - むり、、、好きです、好きすぎます、更新頑張ってください! (2021年7月29日 18時) (レス) id: fb31e5b43b (このIDを非表示/違反報告)
つめきわに - やばい、、、やばい、、、やばi(((だざさんかっこよ待って死ぬってうん。更新お願いします!!!(スライディング土下座) (2021年6月20日 20時) (レス) id: 8a122b7869 (このIDを非表示/違反報告)
リ - はぁ、、、ダメだよこれ、、、好きすぎる。もう好き。うん。はい。、、、更新頑張ってください! (2021年4月1日 5時) (レス) id: 60a485a3f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミメット | 作成日時:2019年2月5日 0時