【文スト×名探偵コナン】新双黒と迷いこみました (ページ21)

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第拾玖幕ページ21

【その頃の探偵社】

明らかに不穏な空気の探偵社。深刻な面持ちの国木田に対し、太宰は場違いな、相変わらずの薄っぺらい微笑みを浮かべた。

社長である福沢も、悩むように唸る。鏡花は心配そうに窓の外の重苦しい雨雲を見上げた。雨模様の空はまさしく探偵社の空気だ。

「電話は一応繋がるらしいけど……、中也は何度も掛けてやっとだとか」

「別世界……、信じられんな」

「異能がないと憶測される世界。同じヨコハマの地名。何とも云えないね」

乱歩の言葉に、国木田はまた額に手をあて唸る。特異点の影響であることには変わりない。だが、その発祥点である二人がいない。

Aはその別世界。もう一人はマフィアの拷問中だ。探偵社、いっそのこと異能特務課に引き渡して欲しいほど、喉から手が出る。

とりあえず、情報が多い方が良い。もしもだ。もしも帰って来られない場合。彼等は一生その世界で暮らすことも考えられる。

「というか太宰!!」

「何さ、国木田君」

「貴様はこんな緊急時に、何をヘラヘラと笑っている!!事の重大さを考えろ!!この包帯無駄使い装置が!!」

「だって、私達が何かやって三人が戻ってくるなんてことはないんだもの」

「まぁ、そうだが……」

「いや、一概にそうとも云えんな」

頭を重々しく上げた福沢は、地図を広げる。それほど人数が居るわけでもないが、やはり小さな地図を見るとなるとかなり狭い。

「消えた場所に何かあるかもしれん」

「あァ、社長の云う通りかもしれないね」

武装探偵社の専属医師である与謝野が深々と頷いた。特異点は何があるのか分からない。だから、手掛かりがあることも考えられる。

「なら私が行く」

鏡花が手を挙げた。視線が集まるが、少しも怖じけずに福沢を見つめる。降り頻る大きな雨粒が、窓硝子に音を立ててぶつかる。

「……良いだろう」

「なら、僕が行くよ」

「ら、乱歩さんがですか!?」

「君もだよ、谷崎」

「兄様も行くなら、私も行きますわ」

「いや、ナオミちゃんは此処で国木田君と資料を漁っていてほしい」

太宰が口を挟む。国木田は既に特異点の前例や今回の事例。そして具体的なことを、積み上げられた資料から既に探し始めている。

「分かりましたわ……。兄様、頑張って下さいませ、ナオミは応援してます!!」

「大袈裟だよ、ナオミ……」

「私はポートマフィアに行くよ」

「なら賢治を連れていくんだな、太宰」

「了解です!!僕、頑張っちゃいますよ!!」

「各々、任務に取り組め」

福沢の一言で、探偵社は捜索を始めた。