【文スト×名探偵コナン】新双黒と迷いこみました (ページ20)

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第拾捌幕ページ20

【相対するということは】

店内では荷物(買った私物)を見ている芥川。明らかにご立腹のようで、右足をひたすら小刻みに床に叩きつけているように思える。

其処から殺気立つ空間を、人はわざわざ避けているらしい。黒い外套が膨らみ、今にも布が意識を持って動き始めそうなぐらいだ。

つまり羅生門の発動が間近だということ。慌てて走り出す敦を見つけると、額に青筋を立てて、威嚇するように歯ぎしりをした。

「人虎！！」

「ご、ごめんって……」

「Aを探すのに何れだけ時間がかかっている！！貴様の瞳は飾りか！！無能め！！」

「はぁ!?此方だって事情があるんだよ!!」

『ご、ごめんね』

喧嘩腰になる敦に再び、牙を向こうとする芥川。呼吸の合間に空かさずAが謝れば、芥川がAの方へと向く。そして沈黙。

まず芥川が見たのは、Aの横に佇む末広。それから繋がれる手と手。背の高い末広を見上げるようにして睨み、歩み寄る。

「“猟犬”か」

「ポートマフィアの黒い悪魔」

「その卑しき手を離せ、軍警如きが汚らわしい」

「断る」

「は?」

初対面であるにも関わらず、芥川の静かな殺気が急速に鋭く研ぎ澄まされる。末広も微かに湿らせた闘気を身体に纏わせた。

風もないのに、外套が激しくうねり膨らむ。対し、一切も揺れない軍服の肩掛けに潜む長剣の柄に手を添えて、戦闘態勢に入った。

云わずともがな、敦とAは冷や汗を浮かべ顔を見合わせると。途端に光の如く敦は芥川を取り抑え、Aは末広の手を握った。

「離せ、人虎！！」

「此処で騒ぐなよ、馬鹿!!」

「この光景を見て、落ち着けるか！！」

「理不尽!!」

『何やってるんですか……』

「ソイツが悪い。俺は悪くない」

『他人に押し付けないで!?』

「俺は悪くない」

アンの部屋の中に、人の目を盗んで荷物を入れていく。その最中にも、芥川と敦は異能を繰り広げそうなほど熱くなっていた。

それを見つめていた翡翠の瞳は、此処に着く前に撒けたらしい。その気配はまだ近くをさ迷っている。何時見つかるか分からない。

「鐵腸さん、見つけましたよ」

今度は何も感じられなかった。ただいきなり末広の名を呼ぶ、冷やかな絶対零度の声が降り注ぐ。怒りの沸点に到達した声だった。

「忘れていたな」

『一寸、忘れないであげて!?』

また一人。翡翠とは別の来訪者。