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伊沢拓司くんは、不思議な子だった。
彼はコミュニケーション能力、いわゆるコミュ力が非常に高いのだろう。あっという間に周りに溶け込み、瞬く間にコミュニティの中心人物となっていった。
そのうえ物怖じもしないようで、周囲にどんどん話しかける。まるで既に知り合いだったかのように。それは私に対しても例外ではなく。
「先輩!ここってどうやるんですか?」
「先輩!ご飯食べに行きましょう!」
「先輩!買い出し付き合ってください!」
「先輩!」
「先輩!!」
「先輩!!!」
…いや、これは少し度を越している気が。
「あのさ、伊沢くんはどうして私にそんなに絡むのかな?」
「? 先輩に話しかけるのに理由がいりますか?」
「ああ、そう…」
さも当然と言い放つ彼に、毒気を抜かれてしまった。
まあ別に、嫌なわけではなかった。後輩が「先輩!先輩!」と、まるで子犬のようにパタパタと駆け寄ってくる様はとても愛らしく思う。そもそも、可愛い後輩が懐いてくるのに、悪い気がするはずがないのだ。
ただ、伊沢くんといると何かを失くしたような、どことなく落ち着かない、そんな心持ちになるのだ。
伊沢くんとはじめましてをしてから、半年と数か月。ご飯に行ったり、休日に一緒に買い物に行ったりと、私たちは自他とも認める仲の良い先輩後輩となっていった。誘うのはいつも伊沢くんからで、その誘いはいつも突然だった。
「先輩!」
「はいはい、何でしょう」
「明日ディズニー行きましょう!」
「はいはい…うん?」
「やった!じゃあ、また明日!」
「え、あ、待って!ねえちょっと!?」
「遅刻しないでくださいねー!」
「いつも遅刻するのは伊沢くんでしょ!?じゃなくて、」
どういうこと、と説明を求めようとする頃には、彼は姿を消していた。彼を形容するには、嵐なんて言葉じゃ収まらないだろう。
誰に相談しても、肩にポンと手を置かれ、無言で首を横に振られるばかりだった。なるほど、行ってこい、と。
かくして私は某テーマパークへと赴くのだった。
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あああ(プロフ) - しるふぃさんさん» こちらこそご拝読いただきありがとうございます!!お楽しみいただけたようでとっても嬉しいです!ありがとうございました! (2020年6月18日 22時) (レス) id: 5e26c4a7ae (このIDを非表示/違反報告)
しるふぃさん(プロフ) - あぁ…!こういうのが読みたかったんです!!ありがとうございます…!ありがとうございます…! (2020年6月15日 22時) (レス) id: dbc8d18dc4 (このIDを非表示/違反報告)
あああ(プロフ) - Frölunda さん» ご拝読ありがとうございます!そう言っていただけてとっても嬉しいです!ありがとうございます!! (2020年6月1日 20時) (レス) id: fe2e5bcb5b (このIDを非表示/違反報告)
Frölunda - 最初の説明が英語だったから、英語で書かれた小説なのかなぁって思ったらめっちゃ感動した。しばらくはガラスの靴って聞くだけで泣けそう。すげぇ (2020年5月27日 20時) (レス) id: 86429bc0ce (このIDを非表示/違反報告)
あああ(プロフ) - ゆうかさん» 初めまして!最後まで読んでいただけて光栄です!お楽しみいただけたようでほっとしております…嬉しくなる感想をありがとうございました! (2020年5月25日 10時) (レス) id: e3106e5da9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あああ | 作成日時:2020年5月24日 1時