【文スト】幸福と不幸は紙一重

異国人の様 ページ33

そんな約束をしてから数日後、森さんは太宰さんを連れて『横浜を守る為』と言って俺を残して行ってしまった。
……正直少し寂しかったがこれも抗争を拡大するポートマフィアを止めて横浜を安全にする為だと分かっていた俺は黙って笑い見送った。
其処から芥川との交流も切れ、俺は適当に貧民街をさ迷いながら闇医者として食い繋いでいたある日、面白い噂を耳にしたのだ。
俺はその面白い噂の真相を知りたくて彼等が居ると言われる貧民街の一角へと行った途端銃をつきつけられた。

「うわっ、好戦的すぎだろおい」

「私達『羊』を害しに来たんなら殺 すよ」

「そうだ。何の用だお前」

そう警戒心丸出しの桃色の髪の少女と銀髪の少年に俺は手をあげてへらっと笑う。
彼等は『羊』。未成年のみで構成された互助集団組織の構成員。専守防衛に徹底したなんとも不思議な組織。
そんな変な組織が成り立っているのは『羊』のリーダーであるとある異能者が『羊』を攻撃した者に徹底的な反撃を食らわすから。
俺はそんな『羊の王』に会いたくてここに来た。
内面を悟らせない完璧な笑みを浮かべながら口を開く。

「『羊』に入団したいんだが良いか？」

「はぁ？！いきなり何言ってんのアンタ？！」

「そうだぞ？！頭おかしいのかお前？！」

やっぱりこうなるよなぁ…そう思いつつどうしようか考えて居ると目の前に居る二人以外の声が響いた。

「何してやがんだ二人とも？あ？何だそいつ？」

「ち、中也。なんかこいついきなり現れて入団したいとか言ってんだよ」

「明らかに怪しいよね！」

「え…それだけで怪しいとか酷くね？あ、お前が『羊の王』か？俺は桐崎A。そこらじゃちょっとした有名な闇医者なんだが、見た目通り戦闘が出来ないからさ。互助集団である『羊』に入りたいんだが…」

そう笑みを浮かべて予め用意していた台詞を吐くといきなり現れた『羊の王』と呼ばれる異国人の様な紅色の髪と蒼の瞳を持つ少年が少し黙ったあと口を開いた。

「……ついてこい」

「良いのかよ中也？！」

「こんなに怪しい奴だよ？！」

そう抗議する二人に中也が答える。

「こいつは利用価値がある。だからだ。裏切ったら一瞬で殺してやるよ」

「はは、怖いなぁ」

俺はそう口で言いながらも内心上手く掛かってくれてラッキーだなんて腹黒いことを思いながら中也と呼ばれた少年についていった。




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順位更新&20000hit超え&お気に入り200人超えなので二話更新です！

同い年の仲間が居るなら→←幕間　伍

【桐崎君にとっての周りの印象】

乱歩：唯一異能で一度自分の事を忘れた筈なのに覚えてくれた人物。推理だけで自分との関係を割り出した乱歩の事は本当に凄いと尊敬している。

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