【文スト】幸福と不幸は紙一重

酷い奴だな ページ23

「僕…本当に嘘ついて無かったのにぐすっ…」

「そっか…此処じゃ真実なんざなんの意味もないからなぁ…だけど敦が嘘をついてなかったって事は俺が覚えといてやるから泣くな」

そう俺はぐずぐずと泣く敦の頭を撫でた。
泣きながら敦が溢す。

「ひっく……僕が両親を覚えてたら両親に助けて貰えたのに……ぐすっ」

俺はそれを聞いた途端顔をしかめた。
そして考えるより先に言葉が口をついて出た。

「俺は親の顔を覚えていて良かったと思った事はないなぁ……
だって死んじまったて事実を知ってんのに思い出すなんて悲しいだろ？だからな敦。もしかしたらお前が言う通り覚えていた方が良かったのかも知れない。だけど俺みたいに親が死んでたら悲しい場合も有るって事は忘れるなよ？それに今言ったみたいに覚えていて良かったのかどうかは誰にも分かんないんだ。過去は戻りやしないからな…
だけど俺達には未来がある。
だから何時か幸せになれるその日まで我慢しようぜ。大丈夫だ。俺がついて居てやるから怖い物なんて何もない」

俺はそう言って敦に笑い掛けた。
するとそれを聞いた敦が頷いて言う。

「わかった！お兄ちゃんの言う通り我慢すします！だからお兄ちゃんも我慢しよう！約束ですよ！」

「あぁ、約束だ」

だが約束は一瞬で破られた。
俺が堪えられなくなって逃げ出したのだ。
あの孤児院から。
今も悔やんでいる。
敦を置き去りにしたことを…
約束を破った事を…
俺はポツンと呟いた。

「俺、酷い奴だな……」




ーー
一日一回更新が死にそうだと最近見に染みてきた今日この頃…

自分に価値を見いだしてない目→←手をきつく握った

【桐崎君にとっての周りの印象】

乱歩：唯一異能で一度自分の事を忘れた筈なのに覚えてくれた人物。推理だけで自分との関係を割り出した乱歩の事は本当に凄いと尊敬している。

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