【呪術廻戦】やがて溶けて血に還る (ページ4)

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無下限。ページ4

伏黒を置いて、廊下を歩き出す。
歩き方は幼いときから叩き込まれてきた。足音は一切立ててはいけないと教わった。

気配は消す。誰も気が付かないように。

今まで、私が後ろを歩いて気が付いた人はいなかった。それなのにあの人は。

五条「おっ、神楽ちょうど良かった」

おいで、と手招きをする担任、憧れ、目標、仇。

五条「時期が時期なんだけどさ。進級試験、受ける？」

準一級呪術師への進級試験。これに受かれば伏黒に一歩、差をつけることができる。加茂さんに追いつくことができる。

「もちろん。感傷に浸るのは程々にしなくては」

六眼。

五条家一の傑作。特級呪術師。呪術師最強。

「日程はいつ頃ですか？こちらの方も、調子を整えなければ」

こちら、というのに合わせて自らの右目をトントン、と叩く。上層部は宿儺のように、この力を嫌っているみたいだがこの力に勝る術式は存在するのだろうか。

五条「んー、夏休みのどこかだった気がするけど。別にあっちの方に帰るなら試験場かえるよ？」

あっち、か。四国、いや加茂家のことか？まぁどちらでも同じか。

「お盆に合わせて帰るつもりです。加茂さんと会える機会など滅多にありませんから」

まるで恋する乙女のように頬が薄紅色に染まるのを感じて、自分は加茂さんのことをそういう対象として意識しているのではという錯覚を覚えた。

私が、あの人に恋をしている？

まさか。親の決めた許嫁、ましてや会うのは年に数回。それなのに。

五条「あぁ、結婚するんだっけ？式挙げるときは呼んでよ、今年中でしょ」

ええ。分かりました。

先生が去るのを見届けて、深く、深く深呼吸をした。

もし私が先生を___________

後ろを振り返り、眉根に皺を寄せた。睨みつけた先はただの虚しい虚空だった。