人外歌い手、響かせ声を【歌い手】

赤眼:浦田Side ページ9

知ってはいたけど、見る気にはならなかった動画がある。


【友達に歌ってもらった『心做し』をコッソリ撮ってみた！@知られたらノされるw】


その動画は圧倒的な再生回数を誇った。

その日から坂田が煩くなった。

『どうしよう俺っ恋しちゃった!!』

だとか…

『フォロバされたぁー!!』

だとか…

『今度歌ってみた投稿するんですよ!?
　俺その日作業休みますからッ』

やめれ。


そして今日は無理矢理イヤホンを着けられてます。


坂田「聴いて損なんて無いですから！」


「仕方ないなぁ…」


普通の人の投稿だからスマホ動画。

首から上は映さないスタイル。

別のスマホから曲を流してるのか聴きにくい。でもそれは一瞬の事で…


《ねぇ、もしも全て投げ捨てられたら》

《笑って生きることが楽になるの？》


悲しみを孕んだ歌声に…

心が絡めとられてしまった。


《酷いよ酷いよ…もういっそ僕の身体を》

《壊して、引き裂いて…好きなようにしてよ》


もうずっと昔に味わったはずの

"初恋"

その時みたいな胸を締め付けられる感覚。


曲が終わる頃には泣いてしまっていた。

堪えていた涙は溢れてしまう。


坂田「…ね？ いいでしょ？」


「……グスッ…おう……」


生歌でこんなに透き通るような声を放つ少女。

会って、直接この声を聞いたらきっと…


「高校生かぁ……」


どっかの誰かさんと同じセリフを呟いた。




・




となりの坂田さんやで☆

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