今日から嫁、始めます【オリジナル・男主】

嫁20 ページ24

「旦那様がおつきになりました」

エントランスの扉が開いて、中年男性が入ってきた。

小綺麗で、高そうなスーツだ身を包んだ紳士。


叔「尚人、薫、暫くだったな」

尚「父様お久しぶりです。」

薫「……お久しぶりです。」


薫さんに習ったとうりに軽く会釈をする。

一応妻となる身、叔父様に話しかけてもらえなければ会話することは許されない。

それは、若奥様も同じ。

叔「……薫、隣のΩは誰だ」

薫「ご報告しようと思っておりました。私の婚約者、です。」

叔「婚約者……だと？」


叔父様の私を見る目がキツくなる。その視線から逃げるように頭を下げる。

怖い、純粋に、体が震える。


叔「出ていきなさい。悪いが、この家にΩは要らない。」

薫「叔父様、あなたに決められることではありません。結婚くらい、自由にさせて下さい」


……頭を上げられない。心臓の脈打ちが速くなる。


叔「せめて、正妻はαにしなさい。妾としてなら、離れにいさせててもいい」

薫「嫌です。妻は要と決めております。」

叔「要、おまえの名前か。顔を見せなさい」


恐る恐る、顔を上げて挨拶をする。


要「……か、要と、申します…」


この場にいる全員から、見られていることがわかった。

嫁21→←嫁19

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す