寂寞のアイソレーション３ (ページ30)

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「ハリー、大丈夫か──ひっ！」

Aが青ざめて悲鳴を上げた。ハリーは何に躓いたのか、振り返って目を細め、Aの目線の先を見た。とたんに、胃袋が溶けてしまったような気がした──ジャスティン・フィンチ‐フレッチリーが転がっていた。冷たく、ガチガチに硬直し、恐怖の跡が顔に凍りつき、虚ろな目は天井を凝視している。

その隣にもう一つ、ハリーがいままで見たこともない不可思議なものがあった。「ほとんど首無しニック」だった。もはや透明な真珠色ではなく、黒く煤けて、床から十五センチほど上に、真横にじっと動かずに浮いていた。首は半分落ち、顔にはジャスティンと同じ恐怖が貼りついていた。

「こ、これ──何が──」

ハリーは立ち上がったが、息は絶え絶え、心臓は早打ち太鼓のように肋骨を打っていた。人影のない廊下のあちらこちらを、ハリーは狂ったように見回し始めた。

Aがハリーの視線の先を見ると、クモが二つの物体から逃げるように、一列になって、全速力でガサゴソ移動していた。物音といえば、両側の教室からぼんやりと聞こえる、先生方の声だけだった。

「ハリー、先生を呼んでこなくちゃ──助けを」

二人ともパニック状態で突っ立っていると、すぐそばの戸がバーンと開き、ポルターガイストのピーブズがシューッと飛び出してきた。

「おやまあ、ポッツリ、ポッツン、チビのポッターとウィータ！」

ヒョコヒョコ上下に揺れながら、ハリーの脇を通り過ぎる時、メガネを叩いてずっこけさせながら、ピーブズが甲高い声ではやし立てた。

「ここで何してる？どうしてここにいる──」

ピーブズは空中宙返りの途中で、はたと止まった。逆さまで、ジャスティンと「ほとんど首無しニック」を見つけた。ピーブズはもう半回転して元に戻り、肺一杯に息を吸い込むと、ハリーの止める間もなく、大声で叫んだ。

「襲われた！襲われた！またまた襲われた！生きてても死んでても、みんな危ないぞ！命からがら逃げろ！おーそーわーれーたー！」

バタン──バタン──バタン。次々と廊下の両側のドアが勢いよく開き、中からドッと人が出てきた。

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