寂寞のアイソレーション３ (ページ29)

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翌朝は、前夜に降りだした雪が大吹雪になり、学期最後の「薬草学」の授業が休講になった。スプラウト先生がマンドレイクに靴下をはかせ、マフラーを巻く作業をしなければならないからだ。厄介な作業なので、他の誰にも任せられないらしい。とくにいまは、ミセス・ノリスやコリン・クリービーを蘇生させるため、マンドレイクが一刻も早く育ってくれることが重要だった。

図書室で勉強をしていたAが廊下に出て歩いていたとき、近くをハリーが歩いているのが見えた。

「やあ、ハリー。一人で何してるんだ？」

Aがなんとなくハリーに話しかけると、ハリーが驚いたような顔で振り向いた。ハーマイオニーと和解できたため、ハリーとも普通に話ができるだろうかと試みたが、まだ早かったのだろうか、とAが不安そうな顔をしたが、ハリーはすぐにAを受け入れた。

「やあ、A。君こそ、どうしたの？」

「薬草学が休講になっただろ？だから、図書室に行ってたんだ」

談話室へ戻るハリーの横を歩きながら、Aはぎこちなく話しかけた。

「なあ、ハリーは……私のことやっぱり、嫌な奴だって思うか？」

「どうして？」

「私が、ウィータ家の子だから」

ハーマイオニーやオリヴィアと絡んでいるし、Aのことを険悪に思っていても何ら不思議ではなかった。Aが不安げにうつむくと、ハリーは少し考え込んだあとで続けた。

「僕は別に。直接君に嫌なことされたわけじゃないし」

「そ、そっか」

Aが少し嬉しそうに微笑んだ。

「それに、フレッドやジョージと仲良くしてるんでしょう？」

「え、あ、う、うん」

Aはハリーの言葉に少し顔を赤くしながら頷いた。

「あの二人はいい人だ。君があからさまに嫌なやつだったら、あの二人が仲良くするはずないって思うしね」

Aとハリーはそれから階段を上り、次の廊下の角を曲がった。そこは一段と暗かった。嵌め込みの甘い窓ガラスの間から、激しく吹き込む氷のような隙間風が、松明の灯りを消してしまっていた。廊下の真ん中あたりまで来た時、床に転がっている何かにもろに足を取られ、ハリーがつんのめった。

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