通知の相手は ページ3
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私の母はダンサーで、様々なアーティストのバックダンサーを務めている。
全国津々浦々、偶に海外へ飛び回る生活を送り、海外へ行けば数日家に居ないということかざらにあった。
ダンスをしている母はとてもキラキラしていて、そんな母の姿を見て過ごしてきた私の夢は、幼少期からずっと変わらずダンサーになることだった。
私の父はそれなりに大きな会社の副社長で、多忙な日が続けば私が寝ている間に帰り起きる前に家を出る日も多かった。
働く父の姿はとても格好良く、ダンサーの夢と同時に、父のような仕事の出来る人になりたいと思うようになった。
私の環境を傍から見れば可哀想だと思う人が居るかもしれない。でも私は自分を可哀想だと思ったことはない。
私は父と母を心から尊敬している。
それに、今まで何不自由ない暮らしを過ごせているのは両親が私に沢山の愛情を注いでくれているからだ。
家に一人。寂しく感じる時もあるけど、この一人暮らしの様な生活にも慣れてきている。
私は今年の春、中学一年生になった。炊事洗濯など、家事全般は同年代の子に比べると上手な部類に所属出来るだろう。
さて、ここまで長く一人語りをしているのには理由がある。今日は土曜日、中学校も部活も休みで暇な時間を過ごしているからだ。
私の対面の席にある、半分ほど欠けた食パンと手をつけていないサラダを見てため息をひとつ。
「本当はお父さんが居たはずだったんだけどなぁ。」
そう、今日父は仕事が休みだった。
しかし急な会議が入ったらしく慌てて朝食のトーストをかじり家を出てしまった。
「せめて全部食べていけばよかったのに。」
母は数日前からアーティストの方のツアーを一緒に回っているため一ヶ月程は家に居ない。
父は家を出る時、夜遅くまで帰れないかもしれないと言っていた。今日一日は完全に一人で過ごす事になりそうだ。
二人とも忙しそうだな、と思いながらまだ手をつけていない自分用に焼いたトーストを一口かじる。
ピコン
携帯から聞こえた通知音。
父が何か忘れ物をしたのかなと思い携帯に手を伸ばすと
ピコン ピコン ピコンピコンピコン
今度は大量に聞こえた音。
一度にこんなに多く連絡をしてくるのは、父ではない。
きっとあの人だ。
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ふふふ - おもしろーい！ (2022年1月16日 13時) (
レス) @page24 id: ac3b07a813 (このIDを非表示/違反報告)
ルン - とっても面白いです＾＾これからも楽しみにしております！ (2021年11月16日 1時) (レス) @page2 id: 169ec3d566 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルナ | 作成日時：2021年11月13日 11時
