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雲間がふたつ ページ2

おい!A!



聞き慣れた声に振り返るとそこには部活の先輩がいた
また嫌な人に捕まった

この人は話し始めると鐘が鳴るか(自分の)お腹が空くまで返してくれないことで有名だ
プレー中はとてもかっこいいのに…残念な人



なんですか。

なんですかじゃないわ!
今日はこの後アイスを献上する約束だったろ。



くっそ
すっかり忘れててくれたと思ったのに…

以前部活中に勝負をして負けた方がアイスを奢る賭けをした
結果はこの通り、自分が負けた

でもそれまでの間、行事や大会などで時間が空いていたからすっかり忘れたと思ったのに
流石食い意地が張っているだけある



あー。そんな約束してましたね…。

今日こそは何にもないからな。奢ってもらうぞ!



この人に遠慮という文字はない、あとで財布の中身を確認しとこう

何度か逃げようかと試みたが全て失敗に終わり、なんなら自分の昇降口まで来やがった先輩
絶対に逃さないという心情が見てとれる

腹を括って昇降口から外に出ると、しとしとと雨が降っていた



うわー、マジか。今日傘持ってきてないわ。

あ、そうなんですね。

まぁ、あっちのほう晴れてるしすぐ止むっしょ。

そうですね、そんじゃ行きましょうか。

え?



ぼけーっと空を見ている先輩を他所にカバンから出した折り畳み傘を開く
呆気に取られ阿呆面を晒すのを見て思わず笑みが溢れる



いや、行くって雨じゃん!!
少し待とうや。

えっ、時間が惜しいので嫌ですけど。

んじゃ入れろよ!!

この傘1人用なので入れませーん。



そう言って意気揚々と傘をさして、しとしと降る雨の中を小走りで進んでいく

くるりと後ろを振り返れば、なんとも言えない顔で追いかけようか迷っている先輩
思わず笑って仕舞えば、それを見た先輩が走ってきて軽く小突いて通り過ぎて行く

その後ろを仕方無しについていけば早くしろと大きな声で急かされた

雲間がみっつ→←雲間がひとつ



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作者名:あげのり | 作成日時:2022年5月21日 20時

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