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__ chocolate.3 ページ3

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テーブルに置かれたペンダントを手に取る。








小さく音を立てて擦れるチェーン。


近くで見ると、より一層キラキラとして見えて


ほんのり香水の香りがした。








それが鼻腔をくすぐって、胸が締まる。


首につけるのは恐れ多くて ハンカチに包む。








友人は神妙そうに私を見つめてきたけど


そんな事は全然気にならなくて


むしろ、見ていて欲しいくらいだった。








だって、油断したら叫んでしまいそうだったから。








あんな事があった後で


喉仏が痛いくらい上にきていて


今にも喚声を上げてしまいそうで。








友人には先に帰るとだけ伝えて、


会計を済ませた。








外に出ると、想像したよりも風が冷たくて。








興奮の余韻が残る火照った体には


ちょうど良い度合いの温度で、


身体の縁を通り過ぎていく風が心地良かった。








ちかちか、と感度の悪いネオン管が


バーの店名を光らせる。








その横から足を進ませて、駅への道を踏んだ。








無心で歩こうと心掛けるも


彼に酔いしれる海馬は、落ち着こうにも


留まらず記憶を蘇らせる。








別に長距離を走っている訳でもないのに、


肺の活動はどんどん速まっていた。








どうして、彼があの店にいたのだろうか。


なんで私に声を掛けたんだろう。


疑問が頭に浮かんで、消えていく。








彼に会う前に漏らしていた溜息とは、


また種類の違うものを吐く。








玄関に入るなり、上がり框にしゃがみ込んだ。








「 びっ、くりした… 」








やっとの想いで声を漏らした自分の喉は、


まるで私のものじゃないみたいに


乾燥しきっていた。








相当な緊張が走っていたのかもしれないと


体の力が抜けていくのを感じて、そんな風に思った。








その日はそのまま、寝てしまった。








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さくらんぼ&チェリー@サブ(プロフ) - あぐた。さん» わぁぁぁぁぁ!ありがとうございます!! (2020年2月21日 21時) (レス) id: 8fd736f5ec (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - さくらんぼ&チェリー@サブさん» コメント、ありがとうございます。ベテランだなんて…まだ投稿を始めて数ヶ月も経っていない未熟者です。また作品読ませて頂きますね!(^^) (2020年2月21日 1時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ&チェリー@サブ(プロフ) - いんこです!hit数がスゴい……ベテランさんですね! (2020年2月21日 1時) (レス) id: 8fd736f5ec (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - ゆかさん» コメントありがとうございます。ただいま下書きをしております。公開予定は今週末を予定しておりますので、もう暫くお待ち頂ければ幸いです。 (2020年2月18日 10時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - いつも読ませて頂いています!是非新作も読ませて頂きたいのでパスワード教えて頂きたいですか (2020年2月18日 10時) (レス) id: ad4f41f45e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あぐた。 | 作成日時:2020年1月25日 21時

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