最強な弟。フツーな兄。

廿陸─side五条悟 ページ29

僕、別にアイツに怒ってるわけじゃないんだよ？生まれてからろくに話すことも無く離れ離れになったわけで、幼い頃からほぼ無関係状態だったのに、急に“兄さん”って呼ばれたらそりゃ、困るし、忘れてたっておかしくない。


仕方ないと割り切って、別に兄は悪くないと思って、ただ毎日を過ごしてた。それに不満があった訳でもない。楽しいと、幸せだと思えることがなかったわけじゃないんだから。


だから、久しぶりに再会しても何も無いだろうって思ってた。


でも、なんかそうはならなかった。



“守るのは責務”


僕のことは？


“誰かさんと違って”


そうやって、比べて一線を引くなよ


“関わらないでくれると助かる”


ちょっと待って、


“いちいち噛み付くな”


なんで




どっかで期待をしてた。

貴方は僕を…俺を家族として見てくれてたんじゃないか、って

子供の頃のことはきっと何かの間違いだったんじゃないか、って




“キミ、俺の弟だっけ？誰？”




あの時も無邪気で無慈悲な笑顔だった。




僕は貴方が羨ましい。

僕に無いもの全部持ってるから。

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