【刀剣乱舞】その捌き、三名槍の彼の如く【蜻蛉切】 (ページ16)

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桜の花弁15枚・・・貴方side ページ16

貴「ん......」

首を掠める乾いた風を感じ、ゆっくりと目を開ける。

自分の体にはまるで羽のような、質量を感じさせないくらい軽い布団が掛かっている。

ああ、そうだ。

私は、昨夜.....

？「A？...起きたか？」

ピシリと閉められている障子の向こうから、彼独特の低い声が聞こえた。

貴「...蜻蛉切？」

私がそう言うと、彼は「入るぞ」と言って、箱膳を片手に持って部屋に入ってきた。

蜻「...昨晩は、よく眠れたか？」

貴「...はい。」

蜻「...そうか。」

会話が続かない。

貴「蜻蛉切は、いつから此処に？」

思いきって話題を振った。

蜻「かなり昔だな。今はもうすっかり此処に慣れた。

そのことなんだが....」

蜻蛉切は真剣な顔つきで私を見た。

蜻「皆がお主と会いたがっている。だが、今から会うのはきついだろう？」

貴「......はい。知らない人と話すのは緊張してしまうと思います。」

蜻「そうか。だと思ってな、これから、他の刀剣と話せる様になるまで、私と生活するように、と、主から仰せつかっている。

それでも、良いか？」

確かに、私は人と...「会話」をするのが苦手だ。

慣れるまで....それなら....

貴「はい。改めて、これからよろしくお願いしますね、蜻蛉切。」

蜻「ッ....ああ。」

蜻蛉切は顔をほんのり赤く染めている。

昨晩もそうだったので、病かなにかなのかを聞くと、「大丈夫だ」と答えられた。

すると、蜻蛉切は側に置いていた箱膳を取り出し、私の前に置いた。

蜻蛉切「遅くなってすまない。今日の朝餉だ。燭台切殿が作ったものだ。冷めてないといいが...」

蜻蛉切はそう言って、箱膳の蓋を開けた。

箱膳の中には、白米、味噌汁、おひたしに漬物、鮎の焼き魚。

少しばかり湯気が出ていた。

蜻「ここで食べるか？...ここは少し空気がたまっているな。障子を開けるぞ。」

蜻蛉切はそう言って、目の前の一番大きな障子を開けた。

すると、とても美しい中庭が視界に広がった。

紅葉が赤く染まり、池の鯉はゆらゆら漂っている。池の側には、いくつか彼岸花が、細い花を精一杯広げている。

貴「.....綺麗。」

蜻「そうだろう？さあ、冷める前に。」

蜻蛉切も、何処からか自分の箱膳を取り出し、縁側に座った。