我らジャク監見守り隊

第三話　トレイside ページ5

監督生が、洋梨のコンポートを作りたいから教えて欲しいと言ってきたんだ。

いじらしいよな。恋人の好物だそうだ。

自分で作って、美味しいと言って欲しいらしい。

絶対に失敗したくないから、対価は払うからと言って、顔を真っ赤にしてお願いしてきた所なんて…あぁ、妹が彼氏に手料理を作るんだと言っているようで、寂しさと嬉しさが込み上げてきたよ。

それで、監督生に洋梨のコンポートの作り方を教えてやったんだ。

俺も少しは手伝ったが、ほとんど手は出していない。

監督生が、恋人のためだけに作った洋梨のコンポート。

それはそれは美味しそうだったよ。

俺は俺自身の料理への愛情なんて味には関係ないと思うが…それでも監督生の料理は、不格好だけど何より美味しそうに見えた。恋人への思いが詰まっているからな。

それで、綺麗に盛り付けてあとは届けるだけになった時だ。

監督生が突然、「やっぱり無理」と言い出した。

ジャックはきっともっと美味しいものを食べただろう。俺が作ったものより見栄えも悪い。これじゃあ渡せない。恥ずかしい。

……そんなことを、泣きそうな顔で言うんだ。

不安でいっぱいだという様子だったよ…

でも、それだけの理由で渡して貰えないなんて、料理が報われないだろう？

だから、予め呼んでおいたんだ。

誰をって？ハハ、決まってるじゃないか。監督生の恋人をだよ。

適当な理由をつけて、キッチンまで来るように言っておいたんだ。

2人ともびっくりした様子だったけど……監督生は無事にお菓子を渡せたみたいだし、良かったよ。

………そのあと2人がどうしたかって？さぁ、それは知らないな。

だって、邪魔者はキッチンから退出したからな。でもまぁ、上手くいったんじゃないか？

二人とも、登校する時よりもずっと近い距離で、一緒に帰っていったからな。

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