13、こっち向いてよ ページ13
あれから実に一週間が経ち、この奇妙な同居生活にも徐々に慣れてきた頃だった。
ソファにゆったりと腰掛け俺の漫画を読む帝統に声を掛ける。
「ねえ帝統？」
「んー……？今いいとこだからちょっと待ってくれ……て、おい！何すんだよー」
俺が描いた漫画に熱中してくれるのは非常にありがたいのだが、それで俺の話を聞いてくれないのでは意味が無い。
帝統の背中に回り漫画を後ろからひょい、と奪うと、彼は勢いよく振り返って口を尖らせた。行動が子供っぽくて実に可愛らしい。
ごめんね、とあほ毛がはねる頭をぽんぽんすると「……しゃあねーな」と言いつつ綻んでくれたので、俺も彼の隣に腰掛ける。
「で、どうしたんだよ」
「そうそう、折角の休日だし今から出掛けない？っていうお誘いをしにきたの」
漫画家である俺は平日しっかり作業に集中するため、毎週末に一週間分の食材やら日用品やらの買い出しに出掛ける。
一週間前、帝統を拾った日もその帰りだった。
「あー、なるほどな、荷物持ちでいいなら喜んで付き合うぜ」
ぐ、と親指を立てた帝統に嬉しくなる。誘ってよかった。
実をいうと今日は帝統の食器なんかも買ってあげたいと思っていたのだ。
スーパー、ドラッグストア等に行くついでに雑貨屋に寄っていい感じの物を選ぼう。
期待に胸を膨らませた俺は年甲斐もなく元気に立ち上がり、そのままの流れで帝統の手を引き同じように立ち上がらせた。
急なことにバランスを崩した帝統を受け止めると、その頬が若干赤くなっているように感じた。
――もしや脈アリ？
なんて思ってしまったことについては許して欲しい。
だって男なら、そんな反応されたら期待してしまっても仕方ないでしょう？
街に出ると休日ということもあり、デートをするカップル等で活気づいていた。
「ちょっと気まずいな」
「そうか？そんなことより早く店入っちまおうぜ」
萎縮する俺とは対照的に、周りの目なんて何も気にしていない様子の帝統は、前方の雑貨屋を指さし白い歯を輝かせて笑った。
やっぱり、好きだなあ。
綺麗な見た目はもちろんのこと、帝統のこういう明朗快活なところに特に好印象を抱く。
俺も帝統みたいに素直でくよくよしない性格ならば、毎日でも彼に「好きだ」と伝えられるのに。
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おと姫と愉快なサカナたち(プロフ) - 帝統の小説少ないからありがたいです！更新頑張ってください！ (2021年11月11日 1時) (
レス) @page16 id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
さぁら(プロフ) - 素敵です。好きです。(語彙力)更新頑張ってくださいっ！ (2018年12月6日 23時) (レス) id: 50e6c7827a (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 綴(プロフ) - 夏蜜柑さん» 頑張ってください !! 楽しみにしてます !! (2018年9月17日 18時) (レス) id: a0e587eb3a (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 翡翠 綴さん» コメントありがとうございます！素敵だなんてそんな、とても嬉しいです(；；) 遅筆ではありますが更新頑張りたいと思います〜！！ (2018年9月17日 18時) (レス) id: d7baab8fea (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 綴(プロフ) - あぁぁあ … 素敵です 。更新頑張ってください 。 (2018年9月17日 3時) (レス) id: a0e587eb3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏蜜柑 | 作成日時：2018年8月23日 22時
