43 揶揄われてばかりだから ページ44
目が覚めたのは自室ではなかった。
身体を起こせばそこら中散らかるゲーム機が目に入るけれど、この光景に懐かしさを感じる以上に、今は何故私がここで寝ていたのかということが気になる。
スマホを見れば20:09の文字。
慌ててメッセージを開くも、母からの怒涛のメッセージは一回の通話以降ぴたりと止まっている様子だ。
発信は母から。たった20秒程度の通話記録。
…電話になんて出ただろうか？
イマイチ状況が理解できずにいれば突如冷たい何かが頬に当てられて、ひゃ、なんて情けない声でその反対側に身を倒せば綺麗な赤い髪が一番に目に入った。
「…え、と……こんばんは？」
彼は3秒ほど固まる。
笑いを堪えていたようだけれど、彼は3秒で我慢できなくなったのか、少しだけ息を漏らしながら私に透明のコップを渡してくれて。
…さっきのお茶のコップだったんだ。
若干結露した氷入りの麦茶を受け取って、ちょうど喉も乾いていたから少しだけストローを啜った。
「…ええと…私ってなんでここにいるの…？さっきまで音楽室にいた筈なんだけど…」
そう尋ねれば「ボクは教室にいたキミをここまで運んであげたんだけド」なんて怪訝そうな顔をされる。
「キミ宛ての電話に出たのは確かにボクだヨ。でも音楽室になんて行かないし教室で寝ているキミを見つけたのだって偶然ダ」
「…私、教室になんて行っていないけど…」
いよいよ怖くなってきて詳しく説明してもらえば、どうやら私は教卓の真上だけ電気のつけられた教室でたった一人自席で熟睡していたらしい。
考えられるのは凛月くんくらいだけれど、彼の意図や私が毎回寝てしまう理由はよくわからない。
…彼のことだから聞いてもはぐらかされそうだし。
「あァ、そういえば電話に関してだけド、勝手に触るのも不味いし最初は無視してたけどネ…何回も掛かってくるしお母さんって書いてあったかラ」
「え、あ、大丈夫…！寧ろ出てくれて有難う。お母さん心配症だから…」
彼が「そうみたいだネ」と笑うから、慌てて「何か言ってた？」と聞けば、彼は少し悪戯な顔をしだす。
「『どこにいるの！誘拐されたの！？』…なんて凄く焦った様子だったヨ。だからボクが事情を話して、キミの代わりに『娘さんならアホ面で爆睡してます』って伝えておいタ」
「…えっ」
慌てて両手で顔を隠せば、「冗談」なんて笑われた。
…揶揄われてばかりだなぁ。
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かなかなかな… - ありきたりな言い方になってしまいますが、ものすごく感動しました。所々泣きそうになってしまったり、最後はものすごくニヤニヤしたり。読んでいてとても楽しかったです。素敵な作品をありがとうございました！！ (2022年3月29日 19時) (
レス) id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
みる - 最後のタイトル回収がほんとうにすごかったです！めちゃくちゃ楽しませていただきました！！ (2021年9月21日 17時) (レス) @page50 id: 8126ce0406 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - ふわり｡さん» コメント・ここまでお付き合い下さり有難う御座います。こちらこそ、これからもお付き合い頂ければ嬉しく思います笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - 哀霞さん» コメント有難う御座います。そう言って頂けて幸いです…励みになります。次回作の方も宜しくお願い致します笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
ふわり｡ - 完結おめでとうございます！雰囲気も素敵でエピローグまで一気に読んじゃいました（笑）これからもファイトです！ (2019年8月21日 17時) (レス) id: 9c497f6a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：繕 | 作成日時：2019年7月31日 11時
