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20 伝えるのは怖いから ページ21

「2番手つってもなぁ…」

放課後。いつもなら生徒会室に向かう時間だが、今日は二年の空き教室に向かっている。凛月から俺に課せられたミッション、それはターゲットにAを褒めさせること…らしいのだが。


( 何ともまぁ大雑把な上に難しい人物を選んでくれたよな〜… )


正直自分でも自分が一番難しい立ち位置だとは思う。
ただまぁ、アイツはAに対して嫌悪感抱いてる感じしないし、寧ろ〜…って感じだし。


「…ま、俺が上手いこと背中押してやる形で…
 「一人で何を話しているんだ」ッうわぁ!!?」

そんなに驚かなくてもと逆に驚かれる。いや、知らぬ間に背後に人が立っていたら誰だって驚くだろ。というかお前だから尚更驚く。


「…で、何の用だ衣更」

用がないならば帰るとでも言い出しそうな氷鷹北斗に早速Aのことだと伝えれば、彼は一瞬驚いたような顔を見せ、そしてすぐ逸らされる。


「これはA組の問題だ」

その一言だけを残し教室を出ようと背を向けた彼奴に、なんだか無性に腹がたって。
あぁ、またそれか。そうやっていつも一線を引いて、結局後からそれに苦しむのは自分なのに。

気付けば手を掴んでいた。
北斗は怪訝そうな顔で此方を見る。


「周りを見るのと一線引いて逃げんのは全然違うし、お前だってそれが自分の悪い所だって本当は気付いてるんじゃないのか?勝手に臆病になってるだけで、本当は伝えたかったことがたくさんあったんだろ」


伝えるのは、誰だって怖い。

俺だってそうだ。現に左手が震えて仕方ない。抑えようと更に強く握っても止まらないし、頭の中だってもう空っぽ。
思ってたこと全部言ってやっただけでどう落とすかなんて考えてなかったし…だめだ、背中押すとか言って全然上手くいかない。
口篭った俺に、北斗は小さく頷く。…エ?なんの頷き?


「…言葉にしないと伝わらない、か」

咄嗟に深く頷けば、どうしたんだと今度は呆れられる。
結局俺は彼の背中を押せたのか疑問だが、何か上手いこと捉えてくれたからいいことにしよう。

ふと「衣更」と呼ばれて、いつものようにうん?と返せば、目に入った彼の表情は案外不安そうな顔にも見えて。


「俺が、声をかけてやってもいいのか」
「…今までのお前は、アイツに向き合うことから逃げてたヘタレだ。でも、いつも心の中ではあいつに感謝してたこと知ってるよ」

言葉にしないと伝わらないぞ、なんて北斗の言葉を借りれば、確かにそうだなと、彼は今度こそ腑に落ちたように笑った。


「…ありがとう、衣更」
「…おう!」

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かなかなかな… - ありきたりな言い方になってしまいますが、ものすごく感動しました。所々泣きそうになってしまったり、最後はものすごくニヤニヤしたり。読んでいてとても楽しかったです。素敵な作品をありがとうございました!! (2022年3月29日 19時) (レス) id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
みる - 最後のタイトル回収がほんとうにすごかったです!めちゃくちゃ楽しませていただきました!! (2021年9月21日 17時) (レス) @page50 id: 8126ce0406 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - ふわり。さん» コメント・ここまでお付き合い下さり有難う御座います。こちらこそ、これからもお付き合い頂ければ嬉しく思います笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - 哀霞さん» コメント有難う御座います。そう言って頂けて幸いです…励みになります。次回作の方も宜しくお願い致します笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
ふわり。 - 完結おめでとうございます!雰囲気も素敵でエピローグまで一気に読んじゃいました(笑)これからもファイトです! (2019年8月21日 17時) (レス) id: 9c497f6a6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年7月31日 11時

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