17 弱さを見せなかったから ページ18
軽音部の部室前についたかと思えば「ここで待ってろ」と言われ、私と鳴上くんはドアの前で待つことに。大神くんが部室に入ってすぐ、部屋の中からは聞き覚えのある声が聞こえた。
「大神、わざわざここに呼ばずとも、俺は教室に行ったが…」
乙狩くん…？
これには隣で聞き耳を立てていた鳴上くんも驚いた様子で、二人は陸上部で一緒なんだっけ、なんて聞こうとすれば、彼は「しっ」と人差し指を私の口に当てる。
「わかってンだろ、Aのことだよ」
一瞬、呼吸が止まった。
「アイツは今までずっと一人で追い込まれた。俺らに対してなら少しは無理しなくなったけどよ、お前らA組のヤツらに対してはずっと下手くそに笑ってンだよ。アイツのことちゃんと見てたなら気付いてた筈だろ！！」
大神くんの声は廊下にまで響き渡っていた。
乙狩くんからの返答は何もない。きっと困っているのだ。なんでそんなことを聞くのかと。なんで私なんかを庇うのかと。
当然だ。彼はアイドルで、私はプロデューサーで。
プロデューサーが働くのは当たり前で、それは影でこっそりやるべきことだから。だから、
「…俺は…アイツを、強いと思っていた」
( 強い…？ )
「アイツは、俺たちが来るよりも先に準備を整えて待っていてくれる。俺たちが動くよりも先に、俺たちを休ませる為に重い洗濯物も一人で持っていってしまうし、ドリンクも、休憩のギリギリまで絶対に冷やしておいてくれる。ひとり一人をちゃんと見ていて、一人ずつに、それぞれ全く違う助言のノートを渡してくれた。」
( …気付かれていないと思ってたのに )
気を遣わせちゃったかな。
嫌な思いをさせちゃったかな。
上手くやれなくてごめんなさい。
でも、だって、それが私の仕事だから。
プロの世界に行ったなら、そんなこと当たり前に出来なきゃいけないから。
「大丈夫だと、過信していた…」
大丈夫でいなきゃいけなかった。
「…こんなこと、あんな小さな体では、持たない。見ていた気になっていただけで、結局俺は、見れていなかったんだな…」
悲しそうな彼の声音に、この場を逃げ出してしまいたくなった。
あぁ、私なんかの為に心を傷ませないで。乙狩くんは優しい人だから、誰のことだろうと人を優先してしまう。
今すぐここを離れようと、そっと後退るけれども、後ろから手を取られてしまえば、それ以上進めなくて。
「…鳴上く、」
「Aちゃん、ちゃんと、お話しましょ？」
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かなかなかな… - ありきたりな言い方になってしまいますが、ものすごく感動しました。所々泣きそうになってしまったり、最後はものすごくニヤニヤしたり。読んでいてとても楽しかったです。素敵な作品をありがとうございました！！ (2022年3月29日 19時) (
レス) id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
みる - 最後のタイトル回収がほんとうにすごかったです！めちゃくちゃ楽しませていただきました！！ (2021年9月21日 17時) (レス) @page50 id: 8126ce0406 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - ふわり｡さん» コメント・ここまでお付き合い下さり有難う御座います。こちらこそ、これからもお付き合い頂ければ嬉しく思います笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - 哀霞さん» コメント有難う御座います。そう言って頂けて幸いです…励みになります。次回作の方も宜しくお願い致します笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
ふわり｡ - 完結おめでとうございます！雰囲気も素敵でエピローグまで一気に読んじゃいました（笑）これからもファイトです！ (2019年8月21日 17時) (レス) id: 9c497f6a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：繕 | 作成日時：2019年7月31日 11時
