ポートマフィアに入社してきたのは、川端康成の孫でした。

相棒を誘拐したのは。 ページ11

キキッ

中也さんはハンドルを切ると、ふわりと地面に降り立つ。
「ここだな。」
「なんか、空き地みたいですね。……で、犯人は誰なんです？」
そう問うと、中也はふりかえって、こう云った。

――――武装探偵社(太宰と国木田)……だ。

「ご名答。」
「！？」
トサッと人が舞い降りた。
その人は紛れもなく、太宰さんだった。
「まったく……くにきーだ君さえいなければ、椿ちゃんを独り占めできたのに。」
「もともとそういう計画ではなかっただろうが。」
「そう、椿ちゃんを殺そうとか、そういうのじゃない。君たちを呼び出すための材料にさせてもらったんだ。」
「で？なんだその呼び出した野暮用は。」
「矢っ張り知らないかぁ。そうだよねえ、情報買い占めたんだから。」
「……？」
中也が納得しないような顔をすると、太宰は口を開く。

――――組合(ギルド)がまた動き出した。

「……！？」
「ええっ、そんな情報、こっちからは何も……！」
組合(ギルド)と私たちに何があったのかは、中也さんに聞いて知っていた。
だいたい、私はヨコハマに住んでいるのだから、当たり前だが。
「然もだよ。」
太宰は其処でため息をつく。
「新しく、異能力者を引き連れて来るらしいのだよ。」
「はァ？……其れは誰だ。」
「……『グリム兄弟』と聞けば、中也も知っているだろう。」
「なッ……！？」
「一応云っておいたよ。じゃあ、後は、首領(ボス)に云うなり、何なりどうぞ。」
そう云って、バサッと書類を中也に渡す。
「お前らはいいのか？」
「其れ、コピーだから。社長が『お互い大事なヨコハマを守らねばならぬ。』って云うから、仕方なしにコピーしたんだよ。しかもカラーで。」
「じゃあ、君たちの目的である椿ちゃんをお返ししよう。いいよー、出てきても。」
「やっと終わりましたか〜。」
「椿！大丈夫か！？」
「はい…。一寸太宰さんに弄られましたけど他には何もありません！」
「其れなら良かった。……糞太宰。」
「何だい？……双黒(小)。」
「誰が(小)だ！……次は絶対お前を潰すから、首伸ばして待ってろよ！」
「へえへえ。戦いがお好きなもんで。今度会うときは、其のだっさーい帽子はやめといてもらえるかな。」
「そりゃ無理だね。」
「そーですか。」
「おいお前ら。此処は武装探偵社の敷地なんだ。用が済んだならさっさと帰れ。」

こうして、椿ちゃん誘拐事件は幕を閉じたのだった。

文字数の関係であとがきが書けません！スミマセン！

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