Ｎｏ．166 ページ37
緑「……………………」
心も表情も、全てが無だった
現実を直視する事に抵抗はある
ただ、ガツンと鈍器で
頭を殴られたようなショックとか、
心をえぐられたようなダメージとか、
…そんなんじゃなくて
ぽっかり空いた、心の穴を
どうすればいいんだろうって…
ただ呆然とそれを
ずっと見つめている自分がいる
好きな人もいない
こんなに苦しいことがあることを実感した
緑「…オールマイトがね、言ってたんだ」
気がついたら、開きっぱなしだった口から
滑るように言葉が溢れていた
緑「手の届かないところには、
救けに行けないって…だから、
手の届く範囲には
絶対に救け出さなきゃいけない」
かっちゃんは目の前にいたんだ
Aちゃんもいたんだ
だから、救けられる筈だった…！
かっちゃんとAちゃんは、
手の…届くところに…！！
緑「でも…っ！駄目だった……ッ！！！」
そう言って泣いている僕
泣けば皆が同情する、
責められないだろう、
なんて強請る子供みたいじゃないか。
情けない…！！！
緑「僕の”個性”は…その為にあるのに！！
その為の…”個性”…なんだ…！
相澤先生の言った通りになった…」
『おまえのは1人救けるて木偶の坊になるだけ』
悔し涙がポロポロと溢れる
愛する人を攫われた
助けられなかった……
緑「体……動かなかった…！！」
人ひとり救えない腕なんか、
自分なんか…
いなくなってしまえばいい
そう思った時だった
獄「────…じゃぁ、今度は救けに行くぞ」
黒崎君がそう告げた
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作者名：Pentas 咲妃 | 作成日時：2019年8月13日 15時
