【鬼滅の刃】雷少年の母親…弐

68話 ページ23

善逸side


ある日俺は夕日の中で
爺ちゃんに殴られながら言われていたことを
今でも覚えている


慈悟郎『いいんだ善逸
お前はそれでいい…一つできれば万々歳だ
一つのことしかできないのならそれを極め抜け
極限の極限まで磨け』



いや、爺ちゃん…
ちょい前までブチ切れだったじゃん

雷の型六つあるのに
俺が一つしかできたことないから…

多分、母ちゃんが爺ちゃんに
何度も説得していたんだろうけどさ



慈悟郎『刀の打ち方をしっているか』


知らんよ
ずっと叩くの?泣くよ俺…



慈悟郎『刀はな、叩いて叩いて叩き上げて
不純物や余分なものを飛ばし鋼の純度を高め
強靭な刀を作るんだ』


慈悟郎『善逸、極めろ
泣いていい、逃げてもいい…ただ


諦めるな!』


慈悟郎『信じるんだ
地獄のような鍛錬に耐えた日々を

お前は必ず報われる
極限まで叩き上げ……刃となれ!!』



そう言われた俺は爺ちゃんの方を見ていると
家の方から母ちゃんが夕餉ができたことの
知らせが来た


爺ちゃんは微笑みながら「いい匂いじゃのぉ〜」
と言いながら機嫌が良さそうに家に戻る


母ちゃんはすごい…
なんだって俺以外の兄弟子たちは
母ちゃんに好かれている

時には狙っているヤツらがいるから
俺が睨んで追い返しているけど…


その中でも兄弟子である獪岳もその一人だった


久しぶりに獪岳が帰ってきた時…

俺は獪岳に爺ちゃんが育てた桃を
頭に目掛けて投げてきた


獪岳『爺ちゃんなんて
馴れ馴れしく呼ぶんじゃねぇ!!
先生は”柱”だったんだ
鬼殺隊最強の称号を貰った人なんだよ!!

元柱から指南を受けられることなんて
滅多に無い』


知ってるよ…
みんな話しているんだから


獪岳『先生がお前に稽古つけている時間は
完全に無駄だ!!」


知ってる…でも…俺は…


獪岳『目障りなんだよ!消えろ!!
なぜお前はここにいるんだ!!
なぜお前はここにしがみつく!!』


俺は強くなりたいからここにいるんだ…


母ちゃん以外
俺は誰からも期待されていない

…俺がなにか掴んだり
何かを成し遂げる未来を見てはくれない

母ちゃん以外の人で誰かの役に立ちたい


一生に一人でもいいから
好きな人を守り抜いて幸せする
ささやかな未来さえ


誰も望んでくれない

一度失敗して泣いたり逃げたりすると

あぁ、もうコイツはダメだって離れていく

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