誤解してる ページ31
.
大野さんは黙ったまま、ゆっくり歩く人たちをひょいひょいっと追い抜いて進む。
大野さんの腕ががっちりと私の腰を抱いているから、早足で必死にくっついて歩いた。
「ずっと待ってたんだけど」
「あ……えっ？」
待ってた、の意味がすぐに分からなかった。
ザワザワした店内なのに、静寂を感じる。
今日は午前中で帰るからって朝言ってたから？
でも大野さんは夜まで仕事じゃないの？
疑問を声には出さず、大野さんを見た。
「くっそ寒いのに外の駐車場で１時間近く待ってた。
雪降ってくるし。
風邪引いたな、これは。Aのせいだからね」
すんっと大野さんが鼻をすする。
「ええ？！」
「すっごい寒い。あーーこれ、悪寒だ。
クリスマスに風邪で寝込むとか最悪。
しかも今日土曜じゃん」
祝日の土曜日。
明日は日曜だから病院は休診だ。
「くしゅんっ」
大野さんがくしゃみをして、肩をぶるっと震わせた。
冬なのに大野さんはいつも薄着で、もっと着込めばいいのにって言うのに、「車だから平気」と譲らなかった。
今日だって薄いTシャツにフードの付いた薄めのジャンパーしか着ていない。
春を先取りしすぎている。
そんな格好で１時間も外にいたら、身体も冷えきっているはず。
「やだっ。ほんとに？どうしよう……」
心配になって大野さんを見ると、眠そうな目で私を見た。
「誰だったんだよ、さっきのおっさん」
「え？おっさんって…………あーー、櫻井さんのこと？
うちの眼科の隣のコンタクト屋さんの人だよ。
上司みたいなもの！」
「……ふーーん」
面白くなさそうに、大野さんは唇を尖らせて横に視線を動かした。
その唇にドキンとする。
…………キス……されたんだよね。
どういうつもりで……。
大野さんとのキスを思い出して、そっと唇を隠すように触れると、腰に回されていた大野さんの手が撫でるように動いた。
私の動揺を嘲笑うみたいに。
お店で、たくさんお客さんがいるところでキスされたことより、二宮くんに見られていたことが何よりもショックだ。
弁解したいけど、そんな必要性のない関係に、胸が締め付けられるみたいに痛んだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1534人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
510kana(プロフ) - さよさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます(；Д；)こちら、福岡にあるショッピングモールをモデルにしてます(笑)更新遅くて申し訳ないです｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2018年4月19日 8時) (
レス) id: 776df1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
510kana(プロフ) - さとちさん» 相葉くんほんといつも片思いの役ばっかりでごめんなさい｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2018年4月19日 8時) (レス) id: 776df1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
さよ(プロフ) - いつも心臓を鷲掴みにされ、510kana様が描くお話に夢中なっています。私の生きがいで楽しみです。この碧空ブリーズに出てくるモールが 私が知ってる所にそっくりで^ ^ もしかして…とどきどきしてます（笑） (2018年4月3日 23時) (レス) id: 741ec03a5a (このIDを非表示/違反報告)
さとち(プロフ) - 相葉さーーーん(´；＿；｀) (2018年4月2日 8時) (レス) id: d1a92f5b5f (このIDを非表示/違反報告)
510kana(プロフ) - ともさん» お互い同じ人のことを好きで相談しあってたって切ないですよね(´pωq`)愛され主人公しか書きたくないので(笑)これからも好かれます！！(笑) (2018年4月2日 6時) (レス) id: b12cca8c48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：510kana
| 作成日時：2017年12月29日 8時
