【番外編】弟が見てて思い付いた ページ18
目に見えぬ速さで繰り広げられる戦闘。
上下左右、両の目の視界いっぱいに動き回る数々の火花。
人ならざる者たちによる『戦争』を間近で見、怯える人間たち。
足が竦み、又は突然の出来事に頭がついていかずに動けない人間たちを守るように、人に近しい姿のそれらは戦う。
しかし、彼らの間をすり抜けるかのようにスルリスルリと宙を泳ぐ異形の者。
剥き出しの小刀を口に咥え、針に糸を通すかのような繊細さで…それでもスピードは落とさずに真っ直ぐ人の子に突進するそれ。
それに一番に気が付いたのは、長い黒髪の少女だった。
「園子っ！！危ないっ！！」
少女は自らの親友を危機から救うべく、親友の前に躍り出た。
格闘技の心得もある彼女は、その異形の者に立ち向かうべく、腰を落として構える。
しかし、異形の者の刃がその少女たちに届くことはなかった。
あちらこちらで繰り広げられる戦闘を、文字通り跳び越してそれを貫いた者がいた。
「…あんま、こーゆーこと言いたくないんだけどさぁ…。
最近の現世ってバカなヤツしかいないの？
なんで刃物相手に素手で挑もうとしてんの？
マジでバカなの？
人間相手ならなんとかなんのかもしれないけどさ、明らかに人外相手じゃん。
死にたいの？死に急いでんの？」
ぶわり、と真っ白な髪を靡かせて空から降ってきたその少女はギラギラとした蒼い瞳で呆れたように長髪の少女を睨め付ける。
異形の者に突き刺した刀を引き抜き、大きくため息を吐く白髪の少女。
その少女をいざ殺さんと狙いを定める異形の者は一瞬のうちに焼き払われる。
その熱風によって露わになった白髪の少女の姿に、人間たちは息を飲んだ。
所々に切り裂かれたような穴がある黒いプルオーバーパーカーに、ダメージジーンズ。
履き古されたスニーカーは泥だらけで、格好だけを見ればだらしがない印象を受ける。
しかし、凛と澄んだ青色の瞳に炎に照らされてオレンジに光る白髪と、血が通っているかも怪しい白い肌。
異形の者とは別の意味で人間味を感じない彼女の頬に付いた血液でさえ、神々しく見える。
炎をバックに背負う少女は、にやりと口元を歪めると温度を感じさせない目を見開いて不敵に嗤って言った。
「間違って殺されないよう、動くんじゃねえぞ。人間ども」
【番外編】弟が見てて思い付いた→←【番外編】弟が見てて思い付いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 71人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
