06 兄ちゃん ページ7
「ん…」
体を拘束されているような感覚がして、うっすらと目を開けると、目の前に人がいた。
「っ!!?」
言葉にならない叫びをあげ、目の前に置かれている自分の状況を理解するために脳を再起させる。
昨日夜中に目が覚めて、
台所に行ったらきなこがいて、
きなこと一緒にこのソファーに寝て……、
あれ?
この人いつ来た?
四人くらい座れそうなこのソファーに二人で寝ているのはとても窮屈で、密着状態になるのは仕方ない。
いや、仕方なくない!おかしいだろ!
なんでこの人と寝てんの俺?
ていうかきなこどこ行った…?!
しばらく悶々としていたが、考えるのに疲れたので、とりあえず背中に回されている腕からなるべく起こさないように気を付けながらすり抜けた。
すぅ、と気持ち良さそうに寝ているこの人を横目で睨み付けていると、俺と同じ背くらいの人に話しかけられた。
「よぉ、起きたか。
おはよう!A」
「おはようございます…」
この人は、確か…。
メンバー分の料理をいつも作ってるっていう、三月さんだ。
姉ちゃんから、三月さんに今度料理教えてもらいたい、と一度聞いたことがあったのを思い出した。
「腹減っただろ?朝飯できてるぞ。
一緒に食おうぜ」
ニカッと眩しいくらいの笑顔で言われた。
目がやられた気がした。
「あ、ご飯…」
俺、家政婦なのに…!
朝食という仕事をさっそく放棄してしまったことに焦る。
「ああ、いいっていいって!
なんかこれ、日常茶飯事と化してるからさ」
「いや、三月さんはこれから忙しくなるから、俺が作ります…」
「!…そっか」
俺がそう言うと、三月さんは驚いた顔をした後、またあの眩しい笑顔で俺の頭を撫でながらこう言った。
「じゃあさ、次からは一緒に飯作ろうぜ」
「…えっ?」
「大人7人分の飯作るなんて時間かかるし、なにより一人より二人で作ったほうが楽しいし……な?」
「う……はい」
この人には敵わないな、と思った。
同じ背丈なのに、撫でられたら安心感を覚える。
兄ちゃんがいたら、こんな感じなのか…?
「よし、じゃあ食うか」
「はい」
今更ながらリビングには俺と三月さんと一織さんしかいない。
他の人たちのことを
三月さんに聞いてみたところ、
「MEZZO″の二人なら、もう出掛けたけど、他のメンバーはまだ寝てるんじゃないか?もう8時なのに、遅いよなぁ」
ついでに起こしてきてほしい、と頼まれたのでご飯食べたらたたき起こすと決めた。
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弥生 - 今まで読んだアイナナの男主の中で、一番面白かったです。 (2021年9月20日 20時) (レス) id: a8e691c982 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» コメントありがとうございます!随分前のお知らせでしたので困惑させてしまいましたね、すみません(^^; 更新待っていただけて嬉しいです。ありがとうございます! (2021年2月1日 18時) (レス) id: 137c45cd89 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 間違えました!!!!ですけどまた更新待ってます (2020年12月14日 22時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 来年の三月まで待ってます!! (2020年12月14日 22時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬 - 早く続きが読みたいです!お願い致します (2020年4月22日 11時) (レス) id: 9df39f7e96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらんぼ | 作成日時:2016年5月8日 12時