25 苦手なもの ページ27
「Aって苦手なものあるのか？」
「は？」
朝御飯を一緒に作っている三月さんに突如そう問われた。
「急にどうしたんですか」
「いや…。だって昨日さ、あれだけ陸たちが騒いでたのにAは冷静だったしさぁ…」
三月さんの言う昨日とは、おそらくアレのことだ。
アレとは、黒いボディをもつ、カサカサと暗いところで蠢く奴のことだ。
昨夜アレが洗面所で七瀬が発見し、半裸の七瀬がリビングで駆け回り、六弥さんがすごい速さでよくわからない英語で叫び、壮五さんが一般市民が持っているとは言えない武器を振り回し、それを見た大和さんが爆笑というカオスな事件が起こった。
もちろん新聞紙で包んでダストボックスにシュートしてやった。
「昨日の黒丸は結構デカかった…」
「黒丸…？」
「姉ちゃんが正式名称を言うのを嫌がるから黒丸と名付けました」
「へー…(ネーミングセンス……)」
何故か遠くを見つめる三月さんを不思議に思いながら、三月さんの質問について考える。
苦手なもの……。
運動は好きだし、勉強はそれなりに好きだし、特に思い付くようなことはなかった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「Aの弱点？」
あれから気になって、HRが始まる前にシキに聞いてみた。
「俺の弱点っていうか、苦手なもの」
「苦手なものかぁ…」
うーん、と腕を組んで考えるシキ。
「俺ん家で一緒に見た心霊番組、Aは全く怖そうじゃなかったもんな」
夏休みの間、シキの家に泊まりに行ったことを思い出した。
シキが見たいと言ったから一緒に見てあげたのに、何故かその後ずっと俺から側を離れなかったシキの姿が頭に浮かんだ。
「怖がるAが見れると思ったのに…」
「悪かったな」
シキに聞いても三月さんの質問の答えはわからなかった。
その日の夜。
天気が崩れ、大雨となった。
三月さんのベッドの上で窓の外を見ていると、電気を消すぞ、と三月さんから声がかかった。
その瞬間、カッと部屋が明るくなり、その後すぐにつんざくような音が響いた。
ーー雷だ。
そう理解したと同時に、自由が奪われたみたいに体が動けなくなった。
「今の近くに落ちたな…。大丈夫か？A、……A？」
返事をしない俺を不審に思ったのか、三月さんの布団から顔を出せない俺に近づく気配がした。
布団を捲られ、俯いていた顔を見られた。
「……大丈夫、大丈夫だ」
そして、優しく抱き締めてくれた。
ー俺の頬には、涙が伝っていた。
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弥生 - 今まで読んだアイナナの男主の中で、一番面白かったです。 (2021年9月20日 20時) (
レス) id: a8e691c982 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» コメントありがとうございます！随分前のお知らせでしたので困惑させてしまいましたね、すみません(^^; 更新待っていただけて嬉しいです。ありがとうございます！ (2021年2月1日 18時) (レス) id: 137c45cd89 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 間違えました！！！！ですけどまた更新待ってます (2020年12月14日 22時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 来年の三月まで待ってます！！ (2020年12月14日 22時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬 - 早く続きが読みたいです！お願い致します (2020年4月22日 11時) (レス) id: 9df39f7e96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくらんぼ | 作成日時：2016年5月8日 12時
