15 遭遇 ページ17
「先日、学校付近で不審者が出ました。
文化祭の準備で帰りが遅くなるだろうから、みんな集団で帰るようにね」
帰りのHRで担任からそう告げられた。
「A、帰り気を付けろよ」
そして文化祭準備中。
シキに神妙な面持ちで言われた。
シキとは家が真逆だから、いつも校門で別れるのだ。
シキ以外に友達と呼べるような人はいなくもないけど、家が近い仲のいいやつはいないから、心配してくれたんだろう。
でも、俺は不良だし、相手が巨漢であろうと、逃げることはできる。
なのになんでそんな顔をしているのか、わけがわからん。
「被害者、男らしいぜ」
「げ、痴女かよ」
「いや、加害者も男」
「は」
なるほど、被害者が男だから心配してんのか。
てか被害者のやつよく学校側に報告したな。
普通男になんかされたら気持ち悪くて誰にも話したくないだろうに…。
「なにかあったら連絡しろよ?」
「不吉なこと言うな」
__________________
シキと校門で別れ、しばらく歩いていると、後ろからものすごい視線を感じた。
しかし後ろを振り返ると、誰もいない。
…気味が悪い。
俺は早歩きで歩を進めた。
すると後ろのやつの歩くスピードも早くなった。
完全にマークされている、と自覚したとき、少し泣きたくなった。
そしてふとシキの顔が浮かんだ。
そうだ、連絡…!
歩きながら鞄から携帯をとろうとしたら、焦っていたのか手が滑って地面に落としてしまった。
やばい、と思ったときにはもう真後ろに人の気配を感じた。
「捕まえた」
俺の耳元でそいつは呟いた。
ぞわわっと鳥肌が立ち、肘で思いっきり後ろに突こうとすると、その前に体を後ろから抑え込まれ、そのまま前に倒れた。
コンクリいてぇ…!
痛さに俺の体が硬直したことをいいことに、そいつは俺の制服のシャツに手を突っ込んできた。
「さわ、んな…!」
相手が俺の腰の上に乗っているため、動きたくても動けない。喧嘩なら勝てる、と余裕こいてたときの自分を殴りたい。
もう、だめだ…。
人生の終わりを感じたときだった。
「おい!なにやってんだ!!」
急に体が軽くなった。
伏せていた顔を上げると、不審者が頬をおさえてよろけながら逃げていったところだった。
救世主…?
「君、大丈夫?」
「立てるか?」
俺は手を借りながら立ち上がり、助けてくれた人たちを見ると、驚いたようにこう言われた。
「紡…?!」
「………は?」
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弥生 - 今まで読んだアイナナの男主の中で、一番面白かったです。 (2021年9月20日 20時) (レス) id: a8e691c982 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» コメントありがとうございます!随分前のお知らせでしたので困惑させてしまいましたね、すみません(^^; 更新待っていただけて嬉しいです。ありがとうございます! (2021年2月1日 18時) (レス) id: 137c45cd89 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 間違えました!!!!ですけどまた更新待ってます (2020年12月14日 22時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 来年の三月まで待ってます!! (2020年12月14日 22時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬 - 早く続きが読みたいです!お願い致します (2020年4月22日 11時) (レス) id: 9df39f7e96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらんぼ | 作成日時:2016年5月8日 12時